第51章 誘拐
意識が遠くなっていく、息が吸いたいしか考えられなくなっていた時にやっと解放された。大きく息を吸い、むせてしまう。むせている時に容赦なく腹パンをされそのまま地面に崩れてしまう。ウソップを見ると、もう既にボロボロの姿で地面に転がっており、無理だと思ってしまった。お金すら守れないなんて…やっぱり私にはあの能力が必要だ。
「………なまえ、…なまえっ!!!」
「……………ん…」
ナミの声が聞こえて目を覚ます。どうやら気絶していたらしい。ナミがウソップを支え起こしていた。最後に見たウソップの姿よりさらに酷くなっていて、私が気絶した後も抵抗していたのかもしれない。
「よかった、目を覚ましたのね!!」
「ナミ……あれ、あいつらは…」
「もういないわ。いい?さとみ、ウソップ。私は急いで船に戻って加勢を呼んでくる。チョッパーも呼んで手当して貰うから!!この先にあいつらのアジトがあるらしいから、そのまま叩き潰して終わりよ!!奪われたお金の事は心配しないで!!」
やっぱり、2億はとられちゃったんだ。でもナミがルフィ達を呼んでくれるならもう取り返せたと言ってもいいだろうな。それなら安心だ。
「ちょっとあんたら見せ物じゃないっつってんでしょ!!!?いい!?ウソップ、なまえ、ここでじっとしててね!!すぐに戻るから!!」
いつの間にか人通りがなかったのに人が集まっていた。まぁこんな血だらけで倒れてたら、何だ何だと思うだろう…主にウソップだが。ナミはウソップを壁にもたれさせて走っていった。
「………ウソップ?大丈夫?」
「……ぐす、…………すまねェなまえ。」
ウソップの目が赤い。さっきまで泣いてたのだろうか…ウソップは多分、私が気絶した後も抵抗して、1人で戦ってやられたんだろう。
「何いってんの……私ただ気絶してただけだし…」
「すまねェ……」
ウソップの顔はずっと塞ぎ込んでいて見えない。そんな重く考えなくてもいいのに…確かに盗られた2億は重い。だけど、それは私も同じだけの責任だ。
「………あれ、ウソップ?どこ行くの?」
「あいつらのアジトだ……この先にあるって言ってた。」
「え!?駄目だよ、ナミに待ってろって言われたでしょ!?」
「おめェはそのまま待ってろ……おれは、行かねェと!!みんなに示しがつかねェ!!」