第50章 船大工職人
「じゃがあの人も忙しい身じゃしのう。お前達の話は要するに船の修理じゃろう?船を泊めた場所は?」
「岩場の岬…」
「よし、じゃあワシがひとっ走り船の具合を見てこよう。その方がアイスバーグさんに会った時話が早い。金額の話もできるじゃろ。」
「わあっ!!ありがとうございます!!」
そう言って船大工さんは準備体操をし始めた。私達はヤガラブルに乗って来たからそんな遠くなかったけど…ランニングにしては長距離になるんじゃないかな。
「ひとっ走りって…“ヤガラブル”で?」
「ワハハハ、そんな事しとったらお前達待ちくたびれてしまうじゃろう。まァ10分待っとれ。」
「10分………?」
船大工さんは綺麗なクラウチングスタートをした。その途端、ビュン、と音をた立てて走り出した。その速さは人間技じゃない。
「え…でも待って、あっちにあるのは…絶壁!!!!」
「うわ!!落ちた!!!」
そのまま絶壁へ飛んでってしまった。あんな高さから飛び降りるなんて…ルフィじゃあるまいし、てかこの船大工さん達はみんなああいう人達なの??
「ンマーー!!!心配するな。」
「え?誰!?」
「奴は町を自由に走る。人は“山風”と呼ぶ。『ガレーラカンパニー』1番ドック“大工職”職長、“カク”!!!」
町の人達にとって、屋根を走っていくカクの姿はそう珍しくはないのだそうだ。すごいな…あんな人がいっぱいいるってことだよね。確かに用心棒になるかも…
「いや驚いた…飛ぶんだもんな、あそこから。」
「ンマー!!ウチの職人達をナメて貰っちゃ困る。より速くより頑丈な船を迅速に造り上げる為には……並の身体能力では間に合わねェ…………ところでおいカリファ。」
「ええ、調査済みです。“麦わらのルフィ”、“海賊狩りのゾロ”、“ニコ・ロビン”。3人の賞金首を有し、総合賞金額(トータルバウンティ)2億3千900万ベリー。結成は“東の海(イーストブルー)”、現在は8人組の“麦わらの一味”です。」
「も……ものすげェバレてるぞ。」
「………あの、あなた達はどなたですか?」
海賊だし、3人も手配書が出てるから知ってる人がいてもおかしくない。でも、結成までとことん調べられるとあまりいい気持ちはしない。悪い事をする気じゃなくても。