第50章 船大工職人
「ねえっ、この辺に換金所はある?」
「んーー…あるにはあるが…そんな量の黄金だと……………店に金がないだろう。造船島の『中心街』へ行った方がいい。」
中心街ね…行き方が分からないだろう、とおじさんは私達にウォーターセブンの地図をくれた。何から何まで親切に教えてくれてよかった。おじさんが用意してくれたヤガラブルの、ルフィの前に乗り込んだ。
「うあーっ、こりゃいいなーー。おい、頼むぞお前っ。」
「こんな都合のいい生き物がいるんだな。」
「そんなにゆれもないし快適。」
ヤガラブル達はとても気持ちよさそうに泳いでくれている。私とナミが手綱を持ってるが、嫌そうには見えない。これなら船酔いもしないな。
「………ところで、おめェら……変だとは思わねェのか?」
「何のことだ?」
「いや、実は私も変だな〜って思ってる。」
今の状態を説明しよう。ナミはウソップと、私はルフィと一緒にヤガラブルに乗ってるわけだが…黄金をヤガラブルに乗せるには一人分の椅子の幅が必須だった。その為、私はルフィと椅子を半分にして座っている。つまり、私のすぐ後ろにルフィが密着してる感じで座ってるということだ。こんなシチュエーション、少女マンガみたいだが……まぁルフィだし。
「今更よウソップ……諦めなさい。」
「………いやだって……うん、まァ…」
ため息混じりに諦めたウソップ。ずっとキョトンとしてるルフィに、知ってるけど何も思ってない顔を見てやれやれと顔を顰めてるナミ。いやだってしょうがないじゃん…そうでもしないと黄金乗せられないし。話を変えよう。
「この辺は……住宅地みたいだね。」
「本当に水路中心の町の作りね。」
「おっ、坂道。流れが逆だけどいいのか?」
住宅街から少し出たところで上に上がる水路を見つけた。流れはウソップの言うとおり逆であったが、ヤガラブル達はそのまますいすいと駆け登って行く。
「あ!!待って道が違うっ!!」
「やっほー!!水が下ってても関係ねェんだな!!やるなーおめえら!!屋根の上にも水路があるぞ。」
「わーっ!!凄い!!アトラクションみたい……!!」
「ねぇだけど!!道が違うわ、まず商店街に出なきゃ…」
ナミが慌ててそう言う。商店街に行かなきゃ換金所には行けないのか…迷っても困るし…でももう少しだけこの町を見て回りたい気持ちもある。