第49章 ウォーターセブン
「異世界人はこの宝石を必ず持ってる。首から下げとくなんて不用心なんじゃないの。」
「………返して!これは…人から貰った大切な物で!!」
「………まさか、まだ知らないのか…」
見ると、青キジの手には切れた紐にぶら下がってるあの宝石。さっきまで白く光っていたのに、今はまた無色透明になっている。シャンクスから貰った大事なものなんだ。これだけは渡せない。
「異世界人はつまりは異端者。普通は何も能力の持たない村人以下……だがこの宝石を手に持つことにより、異世界人に見合った力が手に入る………何が言いたいか分かるでしょ、もう。」
「……………まさかっ!!!」
トリップして来た人達はみんなこれを持っていたと言っていた。この宝石だけは手放してはいけない、その理由は……私が能力を使えなくなるってこと。さっ、と自分が青くなったのが分かった。
「ようやく重大さに気づいたか…」
「返してっ!!!」
青キジに飛びつく。しかし軽く避けられてしまう。咄嗟に手を青キジにむけて大きく振る…が、思ったとおり水が出ない。そのまま蹴り飛ばされる。
「うあっ!!!」
「まァ麦わらに免じて……今回は政府に連れて行かないことにするよ。その代わり……これは貰っとくが。」
「待って、お願い!!!それがないと……」
私の手は虚しくそのまま下がる。青キジは私の静止を聞かず、愛用の自転車に跨ると海へ漕いでいった。私の宝石……異世界人の証。それがないと、私はまた……役立たずに逆戻りしてしまう。お願い……それだけは嫌なの。やっとみんなを守れるくらいの力は出来たと思えたのに。
「あぁ、それと………この宝石がないと、元の世界に戻れないらしいから。」
最後の一言、それで完全に私は力が抜けてしまった。1番重要ではないか、その情報は…つまり、これを返してほしければ奪いに来いと。無理だ……今の私の強さでは。
「…………なまえ……………なまえっ!!!」
「……はっ!……え!?」
「何ボーッ、としてんだ。ずっと呼びかけてたんだぞ。」
チョッパーに耳元で呼びかけられてハッ、とする。船首に体育座りをして顔を埋めてたのを気にしてくれていたらしい。あの後、青キジを何もできずに見送ったのは覚えてるが…どうやって船に戻ってきたのか覚えてない。