第48章 大将青キジ
「一週間は持つだろ…………のんびり歩いて…村に合流するといい…………少々冷えるんで………温かくして行きなさいや…………」
「………夢かこれは…海が…氷の大地になった…!!なァシェリー…海を渡れる。村のみんなに会えるぞ!!!10年振りだ………!!!あんた!!ありがとうなァ!!!ありがとう!!ありがとう!!!何ちゅう奇跡だ!!!ありがとうなァーー!!!」
凍らせるだけ凍らせて、青キジは陸に戻っていった。何度も何度も、涙を流しながらお礼を言うトンジットさんに軽く手を振る。大人の男はああやって答えるのが普通なのか?やけにカッコイイんだが。
「………じゃあよ、おれ達ァ行くから。」
「ああ、よかったな!!おっさん!!馬!!」
「シェリー、包帯かえて貰うんだぞ。」
「ヒヒー…ン。」
改めてコートを着たトンジットさんとのお別れをする。一面氷があるわけで、半袖でいる私達にとってはとても寒い。腕に鳥肌が立ってしまった。
「おめェらにも何とお礼を言っていいか…おめェらが来なきゃ、おれはいまだ竹馬の上だった。ありがとうなーーー!!!この恩はずっと忘れねェよー!!!」
「ヒヒー…ン!!!」
私達がこの島に来なければ、トンジットさんはまだ竹馬の上にいた。シェリーにもきっと会えずにいただろう。フォクシー海賊団との決着もトンジットさんの為、というのが少しあった。恩を売るわけではないんだけどね。
「気ィつけて行けよーーーーーーっ!!!」
「元気でなーーーーっ!!!」
「もう竹馬には乗るなよーーー!!!」
「もう無理しないでくださいねーーっ!!」
トンジットさん達が見えなくなるまで、私達は手を振り続けた。3つ先の島で、仲間に会えるといいね。周りは全部氷だから、海の敵とかは気にしなくていいっていいな…
「はーーっ…よかったよかった。」
「うほ!!寒ィ寒ィ!!」
「すっかり冬だコリャ。」
ひとしきりトンジットさんを見送った後、船に戻ろうと陸へ上がる。そこにはすぐそばであぐらをかいている青キジがいた。何か考え事をしているのか…?