第7章 一人目
「どの辺の島だかわかんねぇけど、こーんな太った女の海賊がいてさぁ。アルビダっつったかな。」
ま、まさかルフィ…アルビダのことを言っちゃうのかな。どうして、
「ちょ、やめてくださいよ…」
「なんだかイカついおばさんなんだけど、2年間もそいつここで…」
「やめてくださいよ!!!!!」
コビーが初めて思いっきりルフィを殴った。殴られた当のルフィはまた笑っていた。そっか、悪者になったんだ。演じたんだ。ルフィは。
「やったなこのヤロォ!!このやろこのやろ!!」
ルフィは何度もコビーを殴り返した。それはやり過ぎでは…
「やめたまえ!!これ以上この町で騒動を起こす事は許さんぞ!!」
「おいおいやりすぎだ。そのへんにしとけよ。」
「君らが仲間じゃないことはよくわかった!!今すぐこの町を立ち去りなさい!!」
玄関を出る前にチラリとコビーと、リカちゃんを見る。バイバイ、という意味も込めて笑って、ルフィを追いかけた。
「捕まえたって構わねぇんだぜ…できるなら。」
「ひっ。」
「ちょいちょい、脅すな脅すな。」
「………しかし、たいしたサル芝居だったな。あれじゃバレてもおかしくねぇぞ。」
「後はコビーが何とかするさ、絶対!」
「何にしても、いい船出だ。みんなに嫌われてちゃ、後引かなくて海賊らしい。」
「だははは、そうだな!」
「うん、でも…ちょっとだけ寂しいよね。」
その時、奥から走ってくる足音が聞こえた。振り返ると…
「ル!ル!ルフィさんっ!!!」
「ありがとうございました!!この御恩は一生忘れません!!」
コビーは海軍特有の敬礼をしていた。ってことは、コビーは海軍になれたんだ!