第44章 長い島
「バカな、大丈夫だ。ただの10年物のチーズだ。おれはおめェらと違ってこの島でのびのび生きてきたから、胃袋の出来が違うんだ。まったく最近の若ェ奴らは体が弱くて………医者を呼んでくれ。」
「言わんこっちゃねェだろ!!!アホか!!!」
「医者ァ〜〜〜〜〜!!!おれだーーーーっ!!!食あたりです。」
「わかるわ!!!」
何だこの人、自分で大丈夫だって言って倒れたぞ。流れるように倒れていったぞ。駄目じゃないか、忠告も聞かず食べたからそうなったんだろ。それにしても面白い人だな。まぁチョッパーが一緒にいてよかったよね、直ぐに見てもらってよくなったんだから。気を取り直して、という感じで座り直しトンジットさんはこの島のことを教えてくれた。
「遊牧民?」
「そう、おれ達は移住を繰り返す気ままな遊牧民族。」
「それでたった10年の間に村が消えちまったのか…………」
遊牧民か。だからこんな見たことあるような服にテントがあるんだな。学校の教科書とかで習った記憶がある。トンジットさんが竹馬に乗ってる間に、他の人たちは移動しちゃったんだ。
「ここは『ロングリングロングランド』という島だ。ようこそ。この島はそもそも長いリング状の島なんだが、普段は海によって10の島に区切られている。だが年に一度だけ潮が大きく引く日があり、島々はその日数時間の間だけ一つの島として本来の姿を取り戻す。おれ達はそこを狙って3年に一度、島から島へと移住を繰り返すのだ。」
「はーーん…じゃ、村の移動に取り残されたわけだ、おっさんは。」
「間抜けでいい!!おれおっさん好きだ!!」
「ルフィ、うるさい。」
トンジットさんが倒れてからずっと笑ってるルフィは本当にうるさかった。こっちは真面目な話をしてるんだけどな。それにしても、生き物も木も全部長ければ、島の名前も長いんかい。