第42章 万雷‐ママラガン‐
「誰もいねェっ…!!こんなにデケェ舟なのに…人力なしで動くってのか………!?」
「……確かに、誰もいないのが逆に不気味っていうか…」
「だいたいフツー舟が空を飛ぶか!?聞いた事ねェぞ…!!!そんなモンに乗ってるってだけで足がすくんじまうよ、気味悪ィっ!!一体どんな動力なんだコリャ………!!!ホントに落ちねェのか。」
空を飛ぶなら飛行機とか私の世界にはあったけど…ここではそういうのないもんな。動力はきっと雷だろう。神・エネルは雷を使って攻撃をしてきた。きっと悪魔の実の能力者なんだ。ゴロゴロの実とか…そういうのなんだろう。
「しかも甲板にナミが居たとして…もうおれ達ですら降りられねェ高度じゃねェか…!!どうすんだよ一体…!!!」
「さすがに3人は……キツイかもしれないな。ま、救えた時に考えよ。」
「何でお前はそんな平然と言えるんだよ!!神がいるかもしんねェんだぞ!!?」
「………全力で、逃げる!!!」
「どこを頑張っとるんじゃ!!!」
逃げ足が1番早いウソップに向かって親指を立てて励ます。でも最悪、舟から飛び降りればいいわけで。逃げる時どうするかはその時決めればいいのだ。とりあえずナミが何処にいるか探さなければ何も始まらない。
バリバリバリバリッ!!!
今向かってるドアの向こう側から物凄い雷の音が聞こえてきた。と言うことは、エネルがいるということだ。微かに聞こえる会話で今ナミがかなり危ない状況だと感じた。
「……どうする。」
「…………どうするも何も……………」
困った私はウソップと顔を見合わせる。サンジがまだ到着してないようだ。これは出ていかないとナミが危ない。それは分かってるけど、いざドアを開ける勇気がない。ウソップはギュッ、と自身の拳を握った後、ドアを勢いよく開けた。
「てめェが消えろ!!!必殺!!!“火薬星”!!!!」
男の鏡かよ。惚れたわ、抱いて。どうやらナミへと攻撃しようとしたのを阻止できたみたいである。エネルに物凄い睨まれて、あんなに勇ましかったウソップが顔を隠して身を引いた。うん、でもドア開けて威勢よく言ったまではカッコよかったよ。私はというと、ドアの隙間からあっちを覗いている状態で隠れている。