第42章 万雷‐ママラガン‐
「そうだ!!威嚇にラッパを鳴らしましょうか。」
「そうですね父上っ!心強いですから!!」
「それだけは止めてっ!!!」
ラッパだけは本当に勘弁してほしい。ルフィ達に居場所を教えるっていう面ではいいが、敵まで呼び寄せてしまったら無理だ。しかも今の状況で敵襲にあったら守りきれない。2人共本当に威嚇のつもりで使ってて、キョトンという顔をしている。似た者親子め……
「…はぁ……コニス、サンジとウソップお願い。私は見張りをするから。」
「はいっ!!介抱頑張りますねっ!!」
頼もしいやる気を見せてくれたコニスは、意気込むと船の中へ入っていった。あの黒焦げ状態でどうやって介抱するのかっていうのは、謎なんだけどね。
「スー!そっちを見はってくれますか。」
「スー!!」
「どうかみなさんご無事で。こんな空島ですいません!!」
「えっ、パガヤさんが謝ることじゃないですよ。」
「…………本当に、すいません。」
……パガヤさんが謝ることじゃないのに。空島がそんなになったのは、エネルのせいなのに。エネルに縛られて仕方なく従ってる国民は悪くはない。…だけど、殺されるかもと分かって行動を自粛してる人達ならともかくこの人達は…
「……殺されるかもしれないのに、行動できてるパガヤさん達は本当に凄いです。」
「なまえさん……」
もう違反してる時点で狙われることはわかってるから、諦めて行動してるのか。この人達は絶対にそれではない気がする。私達に対しての罪の意識があり、恐怖を上回ってるため危険を知ってて手を貸しに来てくれた。もうその事実だけで勇気を称えるには十分である。
ガサ…ガサ!!
「……ん?」
ほんわかしてる雰囲気をぶち壊すような音が聞こえる。森の中からだ…誰かがこっちに向かって走ってきてる!もしや敵襲………ここまで平和に来れたのに。
「誰か来る!!」
「!え?」
森から現れたのは思い浮かべてた強そうな敵…ではなかった。ウソップやサンジと同じように真っ黒焦げになった一般の人だった。逃げてきた、って言うのが正しそうだ。私達はアッパーヤードへ踏み込み、その人の話を聞くことにした。