第41章 神・エネル
ウソップがサンジの言ったセリフを怖がってバシバシと叩く。確かにエネルのそのどこでも見えてるような能力はすごいと思う。ずっとアッパーヤードにいるとしたら、スカイピアまで届く距離って本当に想像もできない能力だ。
「恐怖か…いやそれより性質(タチ)が悪い。エネルはお前達の様に国外からやって来る者達を犯罪者に仕立て上げ、裁きに至るまでをスカイピアの住人達の手によって導かせる。これによって生まれるのは国民達の“罪の意識”。己の行動に罪を感じた時、人は最も弱くなる。エネルはそれを知っているのだ。『迷える子羊』を自ら生み支配する。まさに“神”の真似事というわけだ…食えぬ男よ…」
「…エンジェルビーチへ着いた時はここは楽園にさえ思えたのに。とんでもない…かつての黄金郷もえらいトコへ飛んで来ちゃったものね……」
なるほど、エネルがこの空島を支配してるのは圧倒的な強さだけじゃないってことか。ちゃんとした知識もあるし戦闘能力もある…本当に、厄介な敵である。できればハチ会いたくないのが本音であるが…
「…おお、そうだおぬしら。その…昨夜から騒いでおるオーゴンとは一体…何なのだ?」
「「「「……え??」」」」
黄金を…知らない?思わぬ質問をされて私達は唖然とする。私達にとって黄金はお宝そのものだというのに…やっぱり空島とは違うんだ。
「…えっと、黄金っていうのは……その〜金目になるものというか……」
「驚いたぜ………空島にゃ黄金もねェのか…」
改めて空島は私達が来たところとは全く別の場所なんだと思った。そりゃヴァースって崇めてるくらいだもんね。それで戦争を起こしちゃうくらいだもんね。黄金はまぁ手に入れたら見せてあげよう…あのキレイさは言葉じゃ伝わらない。
「……手に入れたら見せてあげますね。それまでお楽しみ、と言うことで…」
「おぬしら簡単に言っとるがな…この戦いをそう軽く見るでないぞ。おぬしらに初めて会った時、我輩が傭兵をかってでたのも青海人では“空の戦い”についてゆけぬからだ。」
「“空の戦い”?」
この機会だし、まだ敵も現れてないのでガン・フォールさんが空の戦いっていうのを見せてくれるらしい。食糧庫にある樽を甲板に運び、ハンマーをサンジに渡す。樽の上にはダイアルである小さな貝。ガン・フォールさんはサンジに、そのダイアルに向かって強い衝撃を与えてくれと言うのだ。