第41章 神・エネル
「そうだ、“変な騎士”のお薬の時間よね。チョッパーどこに置いてくって言ってたっけ。」
「我輩名をガン・フォールという、ガン・フォール。」
「あァ、薬なら冷蔵庫の横の樽の上だよ。頼むね。」
ナミがあまりにも空の騎士と覚えないので諦めて、空の騎士とは言わずに本名を言うようになっちゃった。
「この国の…歴史を少し…………話そうか…我輩…6年前まで“神”であった…」
「頭打ったかおっさん。」
そういった瞬間ピエールに頭を噛まれてた。鳥であるピエールが一瞬で馬になり、鋭くなった歯でウソップを噛んでる。でもまぁ…神かぁ。これでサウスバードが言ってた意味も分かった。
「……………この“神の島(アッパーヤード)”がスカイピアに姿を見せたのは…おぬしらの知る通り400年も昔の話だと聞く。それまでの“スカイピア”はごく平和な空島だったそうだ。たまに“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”に乗ってやってくる青海のわずかな物資は、空の者にとってはとても珍しく重宝される。空島にある“大地(ヴァース)”は全てそうやって偶然空にやってきたものだ。だが“神の島(アッパーヤード)”ほど大きな“大地(ヴァース)”が空にやってくる事はまずあり得ぬ、奇跡なのだ。空の者は当然それを天の与えた“聖地”だと崇め喜んだ。…しかし“大地(ヴァース)”には先住民もいて……“大地(ヴァース)”をめぐる戦いは始まった。その者達こそが“シャンディア”。」
「ゲリラ達の事か………」
「うむ。」
平和だった空島の最初の戦いだったってわけか。空島の人達にとってはヴァースは国宝みたいなものだったから、ヴァースにいたシャンディアの人達は邪魔だったんだ。でもいきなり空島なんかに来ちゃった人達って、空島に来たなんて分からなかったんじゃないかな。いきなり侵略してきた敵、と思ったんじゃないだろうか。
「じゃああいつら元々地上の“ジャヤ”に住んでた奴らなのか!?」
「そうだ。きっと不本意に島ごと空へ飛ばされたのだ。」
「なのに島を追い出しちゃったって事!?」
「そうだ。“空の者”が私欲の為に彼らの故郷を奪い取った…以来400年、シャンディアと空の者との戦いは未だ止まぬ。シャンディアはただ故郷を取り戻そうとしているだけだ。」
「それ……ちょっと切ないわね。」
「「じゃおめェらが悪ィんじゃねェかよ!!」」