第40章 玉の試練
「いい?まず、ノーランドの絵本のおさらいよ。彼が初めて“黄金郷”を発見したのは400年前。それから数年後、再びジャヤを訪れた時には…もうジャヤに黄金遺跡はなかった。つまり、その数年後の間にジャヤの片割れであるこの島は上空へやってきた。」
「“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”に乗ってか。」
「ええ、それしか考えられない。海底での爆発位置は毎回違うとクリケットさんが言ってたから。」
「あの規模だもんな…島も飛ぶぞ。」
島ごと飛ばされるなんて想像もつかないけど…しかも半分。とんでもない地震だったんだろうな…しかもいきなり空なんかいったら息が慣れなくて大変そう。
「でもよ、ジャヤでおれ達が入った森とこの森が同一とはとても思えねェが。」
「それは…きっと“海雲”や“島雲”を作る成分のせいね。この空島を包む環境は動植物を異常な速度で育む力があるみたい。だとすれば森にのみ込まれた文明にも納得がいくわ。」
「おれ達を助けてくれたサウスバードも、こんなにでかかったんだ。」
チョッパーがこんなに、というところでジェスチャーをしてくれたが、なんせチョッパーが小さいもんだから大きさが分からない。そんなところも可愛いわけだが。
「それだが…何でそのサウスバードがおめェらを助けたんだ?」
「それがわかんねえんだ。サウスバードはみんな空の騎士を“神様”って呼んでて…」
「神!?じゃ何だ、このおっさんブッ飛ばしたらいいのか!?」
「いいワケあるかァ!!!このスットンキョーが!!!」
神様……あり得ない話でもない。最初からエネルが神様だと思ってたけど、もしかしたらガン・フォールさんが前の神様でエネルに侵略されたとか。
「とにかく、ノーランドの航海日誌に書かれてた“黄金郷”についての情報を思い出して!」
「黄金を見た。」
「っっタリめェだこのスットコドッコイ!!!」
「それも“巨大な鐘形の黄金”だって言ってたな。……あとサウスバードがいて…」
「……日誌の……最後のページに理解できない言葉があったわ。ノーランドが死ぬ間際に残したという文章。ね、副船長さん?」
そういえば何か書いてあった気がする。その言葉を読んでる時にクリケットさんが近づいてきたんだっけ。それで何か盛り上がった記憶がある。