第39章 神の島
「お?通りの真ん中になんかある。へんなかお。なんじゃこりゃ、オットセイかな。」
ラブリー通りの半分くらい来たところに、それなりに大きい銅像が立っていた。ショーケースに入っているそれは大事にされているようにも思える。空島では珍しく土でできているものだ。
「…ただの変なドロ人形にしか見えねェが、きっと宗教的な像だろ。」
「ばかめ、これは芸術(アート)さ。おれにはわかる。」
「コニス、これは何?」
「それは“ヴァース”。空に住む人々の永遠の“憧れ”そのものです。」
「え!?おめェらこんなんに憧れてんのか?どうかしてるな。」
「ルフィ、」
「………フフッ…大丈夫ですよ、なまえさん。青海の人達には理解し難いものですね…きっと。」
失礼極まりない発言をしたルフィを窘める。コニスは笑ってくれたが…直接過ぎるんだルフィは。ヴァースか…この像のことを言ってるのか、または像を形作ってる土のことを言ってるのか。土だったら空にはなくて青海にはあるものだからピン、とくるけど。
「あ……こっちです、船着き場は……」
「ええ!?もう町を出るのか!?」
「出るも何も目的はココじゃねェだろ!!」
船着き場にはいくつもの面白い船がある。もっと小さい漁業用の船とかヨットとかそういうものを想像してたんだけど…予想と違って様々な種類の船がある。中国風のものだったりデザインが豊富だ。
「うわっ!!見ろよこのゴンドラ!!カッコい〜〜な〜〜!!これ借りよう!!後ろんとこ見てみろ、これもウェイバーみたいに勝手に進むやつだぞ。」
「わ、本当だ。帆がないだけ自分達で操縦しやすそうだね。」
「あ、みなさんの船はこっちです。」
「コリャ楽しいゴンドラの旅になりそうだ!!」
「バカ野郎、ナミさんとロビンちゃんを助けるんだ、真面目にやれ。」
とうとうサンジはその他の心配もしなくなってしまった。ゾロとチョッパー可哀想。でも何となく私も助けに行くんじゃなくて、未知なるところへの冒険にワクワクしてる部分もあると思う。
「“カラス丸”です。」
「はっ!!そんなバカな!!!」
「カラスって………水鳥ですらねェ………」
ルフィが残念そうに声を上げた。まぁ確かにここまで来るのに色々な船をみてきたし、なんというか……コニスのは1番シンプルな船である。