第1章 トリップのはじまり
「色……?」
「そう、アイツは黒だった。自分で黒にまつわる能力を考え、生み出した。」
「……つまり、私のアイデアしだいでは能力の幅を広げることができるってことですね?」
「そういうことだ。」
ふーん、なるほど。私の“色”が何かはまだ分からないけど、使い勝手が良さそうな“色”に当たった場合、とんでもない力を得ることができそう。その時
「お頭ぁ!フーシャ村が見えたぜ!」
「おお、分かった!!」
フーシャ村、ルフィのいるところだ。楽しみなはずなのに、さっきから白い靄がかかってるみたいでルフィの顔が全然思い出せない。
「シャンクスさん。」
「どうした?」
「たいしたことじゃないんですけど。」
「おう、大したことじゃなくても遠慮なく言え。」
「…じゃあ、………私、ここに来る前、みんなが主題になっている漫画を読んでたんですけど…。」
「…ああ、ワンピースだろ?知ってるさ。アイツもそうだった。」
それなら話は早い。てか、ここに来る異世界人の共通点ってみんなワンピースを読んでるってことなんじゃ…
「記憶がないか?」
「え?」
思い出せないか?ここから起こるだろう話を。とシャンクスは続けた。もしかして、前来ていた異世界人もそうだったのか。大きく頭を縦に振ると、シャンクスは答えた。
「キャラの名前も詳しいことも全部知ってるはずなのに、分からない時がある。そうだろ?それに関しては何故記憶がなくなったかは分からないが、そのほうが楽しいじゃねぇか!?」
シャンクスはいたずらっぽくニシシ、と笑った。そういう問題じゃないんだが…どうもシャンクスを見ているとそれでいいのかなって絆されてしまう。