第37章 空の海
だから格安かどうかもわからないし、生活がかかってるのは十分承知ではあるが何せお金の単位がわからない。代表して言った私の言葉に心底驚いた顔をした空の騎士さんを見て、何となく悪い気がした。
「おぬしら……ハイウエストの頂からここへ来たんじゃないのか?ならば島を1つ2つ通ったろう。」
「だから何言ってんだおっさん。」
「ちょっと待って!!他にもこの“空の海”へ来る方法があったの!?…それに島が1つ2つって…空島はいくつもあるもんなの?」
「…何と!!あのバケモノ海流に乗ってここへ!!?…まだそんな度胸の持主がおったか…」
「普通のルートじゃないんだ…やっぱり…」
嫌な予感が的中した。まだ、と言ってるあたり前はよくいたんだろうな。だけどあの大災害で死者が多発してるところから正規ルートから排除されたのだろう。普通のルートがあったことにも驚きだが、どうやってその情報をみんなは手に入れるのだろうか…
「着いたからいいじゃねェか、着いたからいいじゃねェか。」
「死ぬ思いだったじゃないのよ!!!じっくり情報を集めてればもっと安全に…」
ナミはルフィにあたってガクガクと胸グラを掴んでいた。確かに死ぬかと何回も思ったけど、ルフィの言うとおり結果オーライなのだ。
「1人でも船員(クルー)を欠いたか?」
「いや、全員で来た。」
「他のルートではそうはいかん…100人が空を目指し何人かが到達する、誰かが生き残る、そういう賭けだ。だが“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”は全員死ぬか全員到達するか、それだけだ。0か100かの賭けができる者達はそうはおらん。近年では特にな。度胸と実力を備えるなかなかの航海者達と見受けた。」
そっか…もしじっくり時間をかけて情報を手に入れて正規ルートを知ったとしても、誰かが欠けることが絶対であればどっちにしろノックアップストリームできただろう。ルフィは誰かが欠けるなんて絶対嫌だろうから。
「いやァ〜まァ確かにおれがいてこそだった!!あの時コイツらが泣き崩れ人生を諦めてゆく中、おれは言ったんだ!『おれが航海してみせる!!!』」
「ちょっと。」
しゃしゃり出てきたウソップにナミが強めに頬をひねる。これはナミの言葉なのに、当然のように自分が言ったこととして変換して話せるのが凄いと思うよ。そして少し恥ずかしそうに赤らめてるナミも可愛い。