第37章 空の海
「これが……“空魚”じゃない?ノーランドの日誌にあった“奇妙な魚”。おそらく海底のないこの“空の海”に対して、生き残るためにいろんな形で進化を遂げたんだと思うわ。」
「それで風船になったり平たくなったりか?」
「なるほど!!より軽くなるために変化していったのか…」
「そうだと思うわ。地上の海の水より浮力が弱いのよ、ここは。」
「なあなあ。」
「ん?なに?」
空島に着いて早々ノーランドの日誌に書いてあった生き物に興味を示していたが、チョッパーに服を引っ張られて話から離脱する。
「双眼鏡持ってねェか?空島探してェんだ。」
「あぁ、持ってるよ。はい、どーぞ。…でも、空島はもっと上だと思うよ。」
「一応だ。」
気持ちはわからなくもない。早く夢の国に行ってみたいもんね。もしかしたら、同じ境遇にあってる他の海賊船にも会えるかもしれないし…
「なんか見えた?」
「お!船が見えたぞ…」
「海賊船?」
「うん、多分……それと、……人?」
「人?」
チョッパーが見てる方向へ見ると、船らしきものは見えるが人は見えない。しかし、次の瞬間、船は煙をあげて沈んでいってしまったのだ。
「え!?何……沈んじゃった……?」
「わァ!!!」
「チョッパー、船か?船がいるのか!?」
チョッパーは驚いて双眼鏡を落としてしまった。チョッパーは慌ててて、みんなに説明しようとするが何一つ伝わらない。これは自分で見たほうが早いだろうと双眼鏡を覗く。
「…………え、これヤバイ感じ?」
見えたのは上半身裸の背中に羽をつけた男の人だ。仮面を被ってて顔はわからないけど、ヤバイのはそこじゃない。こっち向かって雲の上を走ってきてるのと、片手にバズーカを持ってるということだ。
「何だっつーんだ。なまえちゃん?」
「……っ、敵襲〜〜〜っ!!!武器持った男がこっち来てる!!」
私が叫んだ途端、メリーの船首側から男の人が勢いよく乗り込んできた。それを見てみんなも戦闘態勢に入る。