第37章 空の海
「も!!!勘弁じでぐれェ!!!恐ェえつうんだよ!!!帰らせてくれゴノヤロー!!!即死じゃねェかごんなモン!!!」
「あァあああああああ〜〜!!!」
「こんな大渦の話なんて聞いてないわよ!!!サギよサギ〜〜!!!」
「無理無理無理無理………やだやだやだやだ!!!」
「おっと……!!」
ビビリ3人と私はひたすら叫ぶ。助けを求めてもルフィがもう行く気満々なので、軌道を変えられるはずはないのに…希望はないのに恐いと喚く。私は甲板にいるサンジにすがりついてなるべく外を見ないように心掛ける。いいよね、さっき守るって言ってくれてたしね!!
「うわアあああ、“夜”になったァああああああ!!!渦にどんどん吸い寄せられるぞォオオォォォ!!!引き返そうルフィ!!今ならまだ間に合う、見りゃわかるだろ!!?渦だけで充分死んじまうんだよ!!“空島”なんて夢のまた夢だ!!!」
「夢のまた夢……!!そうだよな。」
「そうよ!!ルフィ!!やっぱり私もムリだと思うわ!!」
「“夢のまた夢の島”!!!こんな大冒険、逃したら一生後悔すんぞ!!!」
ウソップとナミの必死な説得もルフィには効かない。こんな大災害を目の前にしてもルフィは楽しそうな笑顔を浮かべていた。諦めよう…
「ホラ、おめェらが無駄な抵抗してる間に…」
「まに?何だ。」
「大渦にのまれる。」
「ああっ!!!」
「うわあああ落ちる〜〜〜〜〜〜!!!」
船が浮いた。渦の軌道の真ん中にいつの間にか付いてたらしく。サンジに捕まってた私はそれはもう必死にぎゅむぎゅむと締めるように抱きつく。半泣きなので下心なんてあるわけないが、抱きしめられてるサンジはまだ余裕そうに目をハートにしてる。このくらい肝が座ってればいいんだけど…
「ぎゃああああああああ!!!ああああああああああ!!!」
ウソップの絶叫がまた恐怖を引き立てるからやめてほしい。渦に飲まれたらどうすればいいんだろうか、すぐに飛んでしまうのか水が船に入ってくるのか…しかし、そんな心配はいらなかった。
「あ?」
「何!!?消えた!!?何でだ!!?」
「何が起きた!!?」
「あんなでっけェ大渦の穴が!!?どういうこった!!?」
ぐるぐると巻いてる雲は相変わらずあるが、海が静かになったのだ。サンジの服越しに外を見たが、みんなが言うとおり渦がなくなってる。