第37章 空の海
ジャヤを出航して数分、私達の船フライングモデルのメリー号は猿山連合軍の船に挟まれて進んでいる。それにしても人数が多いからか、猿2人の船は大きいな。将来的にはメリー号がこのぐらい大きく改造できたらいいな、なんて思う。
「いいか、現在午前7時だ!!現場付近に到達するのがおそらく午前11時頃。おやっさんが話したように“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”の立ちあがる位置は毎回違うから、それ以前に到着してその位置を正しく“探索(サーチ)”しておく必要がある。少し予定より遅れちまったから…オイ!!聞いてんのか!?おれの説明を…」
「見てろ見てろ。ほら!!正面向いた!!」
ショウジョウが私達にノックアップストリームの発生場所を教えてくれてたが、ルフィ達は捕まえたサウスバードに夢中だ。サウスバードの習性を見て、ツボに入ったルフィがずっと楽しそうにしていた。どんな方向に向けても最後には必ず南を向くのだ。
「いやーー、かわった鳥もいるもんだな。」
「ホントに南しか向かねェんだコイツ!!コンパスみてェだな面白ェ〜〜。」
「ジョ〜〜ジョジョジョジョジョ〜!!!」
「何てったんだ?」
「『南じゃない方を向いてお前たちを困らせてやる』って。」
「うっはっはっ、やってみろ!!」
習性だというのに、そんな簡単に変えることはできるのか?サウスバードはサウスバードのプライドってのがあるんだな〜。でも、この世界にいる動物たちって、ちゃんと自我があるから面白いよね。いや、ないとは思ってなかったけど、チョッパーのおかげで認識できたというか
「お!北向きやがった!!」
「ジ…ジョ…」
「「あっはっはっはっはっは!!」」
「南向かないと落ち着かねェんだ。」
「ジョ〜〜〜〜〜!!!」
実に賑やかだ。これから大災害に立ち向かう、というような緊張感は欠片もない。そのくらいがいいのかな、私がちょっと身構えすぎなのかな。