第36章 ロマン
「何やってんのよっ!!!あいつったらもーーーっ!!!」
さっきまで大人しく待ってたナミだが、もう我慢ができなくなったらしい。朝を迎えて出航の準備もできたが、肝心のルフィが帰ってこないのだ。時間もそろそろヤバくなってきてるし…そんなに遠かったっけ、ジャヤ。
「朝よもう朝!!!約束の時間から46分オーバー!!海流に乗れなくなるわよ!?だいたい帰りは金塊持ってるんだから、重くて遅くなるでしょ!?そういう計算できてないのよあいつの頭では!!」
「いや…最初っから時間の計算なんてしてねェと思うぞ。」
「あぁ、100%な。」
うん。私もそう思うよ。そもそもルフィは重さで速度が遅くなる、なんて人間らしさはまだ持ってるのかな。スピードが化物みたいだから、重さくらいで変わらない気もする。
「町でやられちゃったんじゃないかな…」
「負けたら時間に間に合っても私が許さないからね。」
「どうなんだよお前は。」
だって…ルフィがあいつらに負けるなんてことは100%ありえないからこそでしょ。しかもあんな仕打ちをさせといて痛みを味わらせないなんて、私が許しません。ちょっと痛い目に合えばいいんだよ。その時、
「おーーい!!」
「お。」
「あいつだ………!!よかった、帰って来た!!!」
「やったぞ〜〜〜〜!!」
ルフィが走って帰って来た。うん、怪我もなくちゃんと金塊も手に持ってる。よし許そう。みんなもルフィの顔を見て安心したようにほっ、と息をついてる。
「ルフィ急げ!!!出航時間過ぎてんぞ!!!」
「これ見ろ!!!」
ウソップが走ってくるルフィを急かす。46分オーバーしても間に合うのだろうか…とりあえず一刻も早く出航しないといけないことには変わりない。しかし、ルフィはそれを分かってるのか分かってないのか嬉しそうに手に持ってるものを掲げた。
「ヘラクレス〜〜〜〜〜!!!」
「「「何しとったんじゃーーーー!!!」」」
嘘でしょ…遅れた理由ってそれ??昨日の夜も思ったけど、カブトムシって空島より大事なものなの?しかもヘラクレスて…帰ってくる途中でみつけて追いかけて捕まえたのだろうけど…
ツッコミもそこそこに、ウソップはルフィに生まれ変わったメリー号を見せた。