第5章 旅立ち
「一応…船です。僕が造った船です…2年かかってコツコツと…!」
「2年かけて?で…いらねぇの?」
「はい…いりません。この船はここから逃げ出したくて造ったんですが、結局僕にはそんな勇気ないし…どうせ一生雑用の運命なんです。一応…本当はやりたい事もあるんですけど。」
「………?じゃあ逃げればいいんじゃないの?これで。」
「厶…ムリですよムリムリ!!もしアルビダ様に見つかったらって考えると足がすんで…!!怖くてとても……!!!そう…あれが運命の日でした。僕はただ釣りに行こうとしただけなのに、間違って乗り込んでしまったのがなんと海賊船!!!あれから2年、殺さない代わりに航海士兼雑用係として働けと…!!」
「お前ドジでバカだなーーっ、そのうえ根性なさそうだしなー、おれお前キライだなーー」
「ルフィ、ハッキリ言い過ぎ!!ちょっとは隠しなよもう…ごめんね、コビー。悪気はないの。」
コビーはちょっとルフィの言葉に泣きながら落ち込んでしまった。ので、フォローを入れる。ルフィはいつも思ったことを口にしてしまうのがダメなところだよねー。その上嘘がつけない性格。厄介だけど、そういうところが人を惹き付けるんだろうな。
「でも…その通りです…僕にもタルで海を漂流するくらいの度胸があれば………あの…ルフィさん達はそこまでして海に出て何をするんですか?」
「おれはさ、海賊王になるんだ!!」
悪びれもなくニカッ、と笑い言いのけるルフィ。それに大層驚いたらしいコビーは声を荒げた。
「え……か!!か!!海賊王ってゆうのはこの世の全てを手に入れた者の称号ですよ!!?つまり富と名声と力の“ひとつなぎの大秘宝”…あの、ワンピースを目指すって事ですよ!!?死にますよ!?世界中の海賊がその宝を狙ってるんです!!」
「おれも狙う。」
「……厶…ムリです!!絶対無理!!ムリムリムリ、無理に決まってますよ!!海賊王なんてこの大海賊時代の頂点に立つなんて、できるわけないですよ!!ムリムリっ!!」
ルフィはすくっと立って、ムリムリ言ってるコビーを顔色変えずに殴った。
「痛いっ!!ど…どうして殴るんですか!!」
「なんとなくだ!」
「…でもいいや…慣れてるから…えへへへ…」