第5章 旅立ち
笑ってる場合じゃないんですけどねぇ、ルフィさん。でもルフィといるとなんだか危険なことも楽しいことに変わりそうで不思議だ。とりあえず目の前の大渦をどうにかしないと。って…水が入り込んでしまった!!
「うわわ…もう無理だこの船、どうするの?」
「よし!樽に入ろう!!」
「はあ!?えっ、ちょっと!!」
荷物は大きな樽1個。中には大事な水が入っていたが…その水を全部捨て、その中に私を押し込んだ。そしてさらにルフィも入る。さすがにぎゅうぎゅうでルフィのいたるところが当たってしまう。
「ちょい、狭いよ!!」
「しゃーねーだろ、死ぬよりはマシだ。なははは。」
しばらくすると、グルグル樽が回り出して渦に本格的にのまれたんだなっていうのは分かった。ただでさえ車にも酔うのに、こんな回ってるのに酔わないなんてありえない。気持ち悪くなってきて、それでも回って、ついに私は意識を手放した。
「おい、なまえ!なまえ!起きろよ〜!!陸だぞ!!」
「う、う〜ん……」
ルフィの声で意識が浮上する。頭が痛い。シャバの光が眩しい。ゆっくりと目を開けると、ルフィが今しがた私を樽から引っ張り出そうとしていたところだった。
「……私達、助かったの?」
「おう!助かったぞ!」
相変わらず凄い生命力だ。これは生命力じゃなくて運か。あれ?みたことあるピンク色の髪をしたメガネの男の子がいる。
「あの……こんにちは?」
「あ、どうも。僕コビーと言います。」
おお、コビーか!!1番最初にルフィに会う友達なんだよね!確か海賊アルビダの雑用係権航海士として働かされていたような。
「それより小船とかねぇかな。おれ達のやつ、渦巻にのまれちゃって。」
「う…渦巻!!?渦巻に遭ったんですか!?」
「あー、あれはびっくりしたよマジで。」
「普通死ぬんだと思うよ。ルフィの運のおかげだよ、今生きてるのは。」
「…凄いですね……小船ならない事もないんですが…」
ちょっと頼りなさげに案内してくれたのは小船のある場所。なんだが、これは……
「なんだこりゃ、棺桶か?」
「ブッ」
ルフィは直球過ぎだ。確かに棺桶と言ってもなんら不思議じゃないが。ツギハギだらけで、ちょっとぶつかったら穴が空いてしまいそうなほどボロい船だった。なんでこんなもの…