第36章 ロマン
「おい、なまえ!!なまえ!!」
「お腹に大きなアザがある…背骨が折れてないだけよかったよ。」
ルフィとチョッパーの声が聞こえる。ウソップが何か叫んでる気がする。重たい瞼を開けて、少しずつ意識を浮上させるとルフィとチョッパーが心配そうに覗いていた。
「………ん、」
「なまえ!!!」
「よかった……みんな!!なまえも気づいたぞ!!」
ルフィに頭を持ち上げられて状況が把握できた。クリケットさんはまだ血を滴らせながら座っていて、マシラやショウジョウはルフィ達が助けたのかな?とりあえずサウスバードは捕獲成功したみたいで、みんなここに帰ってきてる。
「…………だからよ、お前らは、」
「おやっさん…………!!」
「……なまえ、大丈夫か?」
あぁ、きっとクリケットさんはルフィ達に金塊は大丈夫だから空へ行く準備をしろと言ってるんだろうな。あんなに人生を掛けて取ったものだっていうのに、私達の為に諦めて…
情けない、情けないなぁ本当に。私全然強くなってないじゃん。守れてないじゃん。何やってんだろ、対して強くないくせにしゃしゃり出て大怪我して…みんなに心配されて。
「……っぐ、………うぅ……ごめんね、みんな……何もできなかったよぉ……!!」
「………おい、何…」
「戦ったんだけど……ひっ、私じゃ無理だった………うっ、…ふ、私が弱ぃ……から!!」
「…………!」
軟弱海賊は私だよってあの時言ったじゃん。自分で言ってたのに…今更何を悔しがるんだろう。でもやっぱりルフィのところにいるからには、強くなりたい。胸張ってみんなを守れるほどの力があるって言いたい。だけどポロポロ、と涙は止まらない。
「………誰だ…誰だよ!!」
ルフィの目が笑ってない。というか、怒った時の顔してる。これは、誰か言ったらすぐにでもカチコミに行きそうな雰囲気だ。今行ったらもしかしたら時間がなくて、空島へは行けないかもしれない。でも、ルフィなら何としても戻って来るような気もする。何より…私が、金塊を取り戻しに行ってほしい。