第36章 ロマン
ズボッ
「んぎゃっ!!」
落とし穴……なんで森に落とし穴なんかあるの?クリケットさん達が作ったとか?見事にかかってしまったじゃないか。そんなに深くないのが幸いか、立てばすぐ出れるくらいだ。
「蜂の巣だ、逃げろォ〜!!!」
「うわああああ〜!!!」
穴の上を跨いで走り去ってくルフィとチョッパー。今度は何?その後ろを蜂の大群が追いかけていった。カブトムシ追いかけてたら今度は蜂に追いかけられるって…とりあえず、蜂に見つからなくてよかった。って、よくないよね!!逃げていったせいで2人の姿が完全に見えなくなってしまった。
「どっか行くなって言っといて、自分からどっか行ってんじゃん……」
どうしよう、この森1人は怖すぎるよ…みんなで別れた場所からはそんなに離れてないから、一旦クリケットさんの家まで戻ろうかな…うん、そうしよう怖いし。適当に時間つぶして、みんなが戻ってきたら何食わぬ顔で集合しよう、そうしよう。くるっ、と着た道を戻ってクリケットさんの家を目指す。
「マシラ!!!」
……ん?なんか海岸のほうが騒がしいな。そういえば、私達が森へ行ってる間は猿山連合軍がメリー号の強化に当たってくれるって言ってたよね。みんなでワイワイやってくれてるんだろうか。
「ハッハッハ!!!おめェらより…おれ達の方が強ェ!!!宝を奪う為にこれ以外どんな資格が必要なんだ!!?」
「おやっさんよけていろ!!!“破壊の雄叫び(ハボック・ソナー)”!!!」
「“狙撃(スナイプ)”!!!!」
いや違う……この聞き覚えの有りすぎる声に嘲り…ショウジョウの怒り狂った声……敵襲だ。慌てて森から出ると、見えたのは…
ドウン…!!!
海に浮かぶショウジョウと、半壊したクリケットさんの家、血だらけで倒れてるマシラに、今にも倒れそうなクリケットさん。
「何……やってんの…?」
「…んん?……お前は…ハハッハハ!!酒場にいた軟弱海賊の仲間じゃねェか。お前らも黄金を奪いに来てたのか?」
黄金……そうか、さっきクリケットさん達が見せてくれたインゴット。こいつらはこれを奪いに来たんだ。こんな真夜中に、奇襲でもかける気だったんだろうか。