第36章 ロマン
「こりゃまずい、おいお前ら森へ行け!!南の森へ!!!」
「は!?何言ってんだおっさん、アホか!?」
確かにさっきまでバカみたいにどんちゃん騒ぎしてましたけど。アホだったとしてもあんたにだけは言われたくないよね。
「この鳥を捕まえて来るんだ!!今すぐ!!!」
「何で!!?何が??」
「鳥が…何だよ!?」
「いいか!!!よく聞け…!!お前らが明日向かう“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”、この岬から真っ直ぐ南に位置している…!!そこへどうやって行く!!?」
「船でまっすぐ進めばいいだろ。」
「ここは“偉大なる航路(グランドライン)”だぞ!?一度外界へ出ちまえば方角なんてわかりゃしねェ!!」
「…………………そうか…目指す対象が“島”じゃなくて“海”だから、頼る指針がないんだわ…………!!じゃ…どうすれば真っ直ぐ南へ進めるの!?」
確かに。今までログポースが勝手に島へ連れてってくれたからあまり考えてなかったけど。今回向かうのはノックアップストリームっていう海流。楽観的に考えてちゃ駄目なんだ。
「ある種の動物は体内に正確な磁石を持ち、それによって己の位置を知るという。」
「うん…ハトとかサケはそんな能力があるって聞いた事あるけど。」
「じゃあゾロお前は動物以下だな。」
「てめェが人の事言えんのかよ!!」
そうやって笑うルフィにゾロが軽くキレる。分かるよその気持ち、でもルフィにバカにされるほどあんたの方向音痴がヤバイってことだからね。
「“サウスバード”はその最たるものだ。どんなに広大な土地や海に放り出されようとも、その体に正確な方角を示し続ける。とにかく!!!この鳥がいなきゃ何も始まらねェ!!!“空島”どころかそこへ行くチャンスに立ち会う事もできんぞ!!!」
「「「えー!!?」」」
「何で今頃そんな事言うんだよ!!」
「もう真夜中だぞ!!今から森へ入れって!!?」
「ガタガタ言うな、時間がねェんだ!!!おれ達はこれからお前らボロ船の強化にあたる!!考えてみりゃ宴会やってる場合じゃなかったぜ!!!」
「だから今頃言うなって!!!」
「いいな、夜明けまでに“サウスバード”を1羽、必ず捕まえて来い!!!」