第36章 ロマン
この狭い家で、よくこんだけの人数がわちゃわちゃできるな、と思う。私達はあの後家に招かれ、サンジの作った絶品の料理を食べ盛り上がっていた。うん、クリケットさんもいい感じに出来上がってきてる。私はというと、十分な料理をお皿に入れてこの家の中でも静かなロビンの隣に腰掛けてちびちびとご飯を食べている。
「……それにしても、やっぱり凄いねぇ…400年前の日誌だなんて。」
「昔の人が残したこういう日誌とかは、読んでみると面白い発見が見つかるものよ。」
「うー…ん、でも私は……興味あるものじゃないと読めないかも。」
「フフ、それは残念ね。知識は武器になるのよ。」
「分かってるけど〜…」
「………!」
日誌をクリケットさんから貰ってロビンに渡したところ、予想通り読みあさり始めたロビン。さっきからずっと読んでいるんだけど、あるページでロビンのページをめくる手が止まった。
「……?どうしたの?」
「『髑髏の右目に黄金を見た』。」
「うわっ、クリケットさん!!いきなり出てこないで、ビックリするから!!」
本をのぞき込んだ所で、クリケットさんが顔面を近づけてそう言った。私だけじゃなく、ロビンまでビックリしてたからそうとうだろう。
「黄金!?」
「涙でにじんだその文が、ノーランドが書いた最期の文章………
……その日ノーランドは処刑された。このジャヤに来ても、その言葉の意味は全くわからねェ。髑髏の右目だァ!!?コイツが示すのはかつてあった都市の名か、それとも己の死への暗示か…後に続く空白のページは何も語らねェ。だからおれ達ァ潜るのさ!!!」
「夢を見るのさ海底に!!!」
「そうだぜウキキィ!!!」
「ウォーホー!!」
「おれ達ァ飛ぶぞーー!!」
「空へ飛ぶぞー!!!」
「おーーー!!!」
クリケットさんの良い酔っぷりに便乗してルフィやウソップも盛り上がる。この家の中だけの小規模な宴になるけど、とても楽しい。ロビンまでクスクスと笑ってて、少し嬉しくなり、誇らしく思った。