第35章 同志
「おれに…聞きてェ事ってのは何だ?」
「“空島”に行きてェんだ!!行き方を教えてくれ!!」
「空島?ウワッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!お前ら空島を信じてるのか!!?」
「………………は?」
「オイやめろ病人だから〜〜〜〜〜〜!!!」
笑われた。反射で手のひらに水を発生させたところでウソップに手を叩かれた。え?何で?この人なら大丈夫だと思ったのに、何でまた笑われなくちゃいけないの?
「“空島”はねェのか!?」
「……………フフ…さァな……あると言っていた奴を一人知ってるが、そいつは世間じゃ伝説的な大うそつき。その一族は永遠の笑い者だ。『うそつきノーランド』、そういう昔話がある。」
「……あぁ、私達、外にあったその絵本を読みました。」
「それなら話が早い。おれはそいつの子孫だ。そしてここがあの話の舞台だ。」
子孫…確かにロビンが最初に言ってたな。モンブラン・クリケットさんだって。お話の人物もモンブラン・ノーランド。
「…じいさんのじいさんの…そのまたじいさんの…おれの遠い先祖さ。迷惑な話だ。奴の血なんざおれには蚊程も通っちゃいねェだろうに…モンブラン家は当時国を追われ、肩身せまく暮らすも人の罵倒は今もなお続く…だが、一族の誰一人奴を憎む事はない…」
「………なぜ?」
「ノーランドが類まれなる、正直者だったからだ。」
「「「「え!!?」」」」
正直者…じゃああの黄金を見たっていうウソや村の人達に旅の話を聞かせていたのは全部本当のことだったの?
「絵本にあるノーランドの最期の言い訳はこうだ。『そうだ!山のような黄金は海にしずんだんだ!!!』アホ顔そえて描いてあるが、実際は大粒の涙を流した無念の死だったという。到着した島は間違いなく、自分が黄金都市の残骸を見つけたジャヤ。それが幻だったとは到底思えない。…ノーランドは地殻変動による遺跡の海底沈没を主張したが、誰が聞いてももはや苦し紛れの負け惜しみ。見物人が大笑いする中、ノーランドは殺された。」
「じゃあ!!だからおっさんはそのモンブラン家の汚名返上の為に、海底の黄金都市を探してるのか!!?」