第35章 同志
あれ、これウソップの話なの?なんて少しバカなことを思ってみる。童話って、人が死ぬとか処刑とかそういう物騒なこと書いていいのかな…あぁ、でも人魚姫とか泡になって消える、とか書いてあったような。その時、
「ぎゃあああ〜〜〜〜っ!!」
「え!?ルフィが海に落ちた!!」
「!!?何やってんだ!!?お前!!!」
「っ、ルフィ!?」
慌てて立ち上がり、ルフィが落ちたところまで駆けつける。助けるために飛び込もうとしたところで、海から誰かが上がってくる気配がして止まる。
「てめェら誰だ!!!人の家で勝手におくつろぎとはいい度胸。ここらの海はおれのナワバリだ。狙いは“金”だな。死ぬがいい。」
「くそっ、なまえちゃん!!」
「えっ、っっ!!!」
息をつく間もなく海へと蹴っ飛ばされた。反射で手でガードしたんだけど、思ったより蹴りが重くて勢いよく水面着陸。ガードした手と、海に打ち付けた腰がジンジンして痛い。そうだ、沈んでる場合じゃない、ルフィが…頑張って目を開けると、横から凄いスピードで沈んでいくルフィを助けに行く影が見えた。あ、ウソップだ。じゃあもう大丈夫か、私蹴られただけでおわったわ。水面に向かおうと方向転換したところでウソップに腰を持たれ、ちょっと、いや大分惚れたのはここだけの話。
「ぷはっ、……はぁ、ウソップありがとう。」
「おう、大丈夫か?……つーか、何やってたんだお前一体…!!」
「ウ…海がら…ゲホ!!泡が出てたからよ、ケホ。海のぞいてたら急に栗が出てきて…!!栗は実はおっさんで…海にひきずり込まれて…」
なるほど。一番最初の被害者はルフィだったわけだ。まぁでも私達も悪いか…金狙いだな?って言ってたし、他の海賊達と間違えたんだろうな。というか、家でって言ってたからあの人の家ってことだから…もしかして彼がクリケットさん、なのかも。なんて考えながら陸に上がると…クリケットさんらしき人が痙攣を起こして地面に倒れていた。
「…………え?」