第34章 夢を追う者
「………………娯楽人が。お生憎様、私はあんたらみたいな小物海賊についていくほど安くない!!」
「……………ハハッ、そりゃお高いこって!!」
「「「「「ウワッハッハッハッハッハッハッハ!!!」」」」」
「一味全員大バカ揃いだ………!!!」
「救いがねェなコリャー。」
……いいんだ、これで。いいんだよね、ルフィ?私、間違ってないよね?
「そこの2人連れてさっさと失せろ!!命があるウチにな!!雑魚共。」
言われなくても、もうこんなところにいたくない。倒れてる血だらけの2人の服を持って、ズルズルと引きずり出口へと向かう。汚い海賊達の罵倒と、お酒の瓶をバックに、やっと外に出ることができた。一刻も早くメリー号に戻りたくて、自然と早足になっていく。その時、
「“空島”はあるぜ…」
不意に聞こえたその声に立ち止まる。ドサドサ、と掴んでた2人を放して声の主を見る。
「……チェリーパイの人…」
「ゼハハハハ、ここのチェリーパイはやっぱり最高だ!!」
さっきまであの酒場でチェリーパイが美味しいか美味しくないかでルフィと言い合ってた、体が大きい男の人がいた。ずっと、そこでチェリーパイを食べていたのだろうか。
「今の戦いはそいつらの勝ちだぜ。それはねーちゃんだって分かってんだろ?おめェの啖呵もたいしたモンだったぞ!!肝っ玉の座った女だ!!ゼハハハハ。」
「、ルフィ、ゾロ…」
むくっ、と起き上がった2人。無言で自分についたホコリを払う仕草を見て、なんだか泣きそうになってくる。
「アイツらの言う“新時代”ってのは、クソだ。海賊が夢を見る時代が終わるって……!!?えェ!!?オイ!!!!ゼハハハハハハ!!!人の夢は!!!終わらねェ!!!!そうだろ!!?人を凌ぐってのも楽じゃねェ!!!笑われていこうじゃねェか。高みを目指せば、出す拳の見つからねェケンカもあるもんだ!!!!ゼハハハハハハハハ!!!」
この人は、ルフィ達の強さを見いだせてる。ちゃんと、強いって判断してくれたのだ。なんだ、この人…何者なんだろう。励ましのつもりなんだうか?
「……………行くぞ。」
「…あ、うん…」
「行けるといいな、“空島”へよ。」
空島って言った?…もしかして、空島について何か知っているんだろうか。でも、知っていたとして今聞けるような元気はない。