第34章 夢を追う者
ガッシャァン!!!
「………っ、」
「へっへへへ……出ていきな、ウジ虫共。」
「酒がマズくならァ!!!」
「ベラミーの言うとおりだ、ヒャヒャヒャ。」
隣に瓶を投げられて驚く。ベラミーの演説じみた持論に賛同した海賊達が一斉に騒ぎ始めたのだ。さっきまで傍観者だったのによく言うよ。
「出てけ出てけ!!」
「この町から消え失せろ!!」
あちこちに瓶が飛び交う。それはルフィだけじゃなくて、連れである私達にも向けられた。さすがに瓶が当たれば痛いだろう。反撃するのか、はたまた…
「ルフィ……」
「ゾロ。このケンカは、絶対買うな!!!」
「ぎゃあ〜〜〜〜っはっはっはっは!!」
「うっはっはっは!!見ろよ、まだ立ち上がる!!」
さっきからずっとこの酒場に下品な笑い声が響いている。ルフィとゾロはベラミー一味に蹴られては立ち、殴られては立ちを繰り返してる。それゆえ2人の体はボロボロで、あっちこっちに血が出ており…見ててあまり気持ちいいものではない。ルフィはゾロに、戦うなと指示を出した。つまり、この人達は『戦う価値がない』
と判断したのだ。それは私にも分かったけど、一方的にやられてては歯がゆい気持ちになってしまう。
「ホーホー!!やっちまえ、そんなイクジのねェヘボ野郎は!!」
「この町は夢見る軟弱野郎の来るトコじゃねェぞ、ギャ〜〜〜ハハハハ!!!」
どんどんと血だらけになっていく2人に自然と拳をぎゅっ、と握りしめてしまう。2人の強さなんて全然分かってない雑魚共は、次々に酒の瓶を投げ続けている。
「ハハハ…悔しいか、譲ちゃん。利口だぜ?コイツら。かなわねェ敵だと悟ったんだ。強ェ者に立ち向かわねェ……みっともねェ決断だがな…………!!!」
「………フッ、敵わない敵ね…」
「ん?」
「本当にそうだと思ってんの?幸せだね。」
「ハァ!?」