第34章 夢を追う者
追い出され、走ってルフィ達に追いつき並んで歩くと、お、なまえも来たのか、なんて呑気に笑ってるルフィがいた。引っ叩きたい。そもそも2人がちゃんとしててくれれば、こんな心配なんてしなくてもよかったのに。
「ナミに頼まれたの。2人共、この町ではケンカしないでね。お願いだから、面倒なことは起こさないで!わかった?」
「「あーー」」
「何その気の抜けた返事!!……もうっ、問題なんか起こしちゃったら、私達が情報収集できなくなっちゃうんだから…本当に勘弁してね?」
「「あーー」」
本当に分かってるんだろうか?自らは戦いに行かないだろうけど、何かしらあっちからハッパかけられたときが怖い。黙って逃げる、ということを知らない2人だから、先頭切って戦いに行くだろう。ナミが行けばよかったのに、なんてブツブツと愚痴る。
「ああっ!!!」
「うわっ…」
目の前に知らないおじさんが倒れてきた。目の前に馬がいることから、きっと馬から落ちちゃったんだろう。具合も悪そうだし。あまり関わりたくない。
「よし……すまんがお前ら…立たせてくれ。」
「お前、自分で起きる気ねェだろ。」
親切にゾロがおじさんに肩を貸し軽々と馬に乗せる。実際軽いんだろうな、病気持ちっぽいし
「…いやいや悪いな。……ハァ、乗れた……おれは生まれつき体が弱いんだ……!!ハァ……ハァ……さァ…行こうストロンガー。」
「ガフッ」
「「馬もかよっ!!」」
強いのは名前だけかい。ペットは飼い主に似るっていうけど、病気のところも一緒とは…馬にまたがるというか、横になったおじさんはどこからだしたか分からないリンゴのかごを差し出してきた。
「お礼といっちゃなんだが…おひとつどうだい。」
「怪しすぎだ。要らねェからさっさと行け。」
おじさんが黒い服に黒い帽子を被っているせいが、棒悪役に見えてきた。毒りんごなんじゃないか、と疑ってしまうのも無理はない。
「お、リンゴじゃん。いただきます。」
「オイオイ食うな食うな!!」
疑うことを知らないルフィは礼儀正しくお礼を言うと、カゴの中からリンゴを1つ取って食べた。一瞬の出来事で、止めることなんて無理だった。