第33章 ジャヤへ
「そいつはマシラってサルベージ野郎さ!!しかしお前ら、あのカメの口からよく逃げられたな。」
「カメ?なんだカメって。」
「ん?カメの様子が変だな。口開きっぱなしで……だからお前ら逃げて来られたのか…」
「ウオオ!!!何じゃありゃあ!!!」
「気づけよっ!!!お前らあれに食われてたんだぞ船ごと!!!」
全然気づかなかったのか2人とも…普通食べられたら気づくんじゃないの?そもそも船の中だから周りの様子とか分からないのか…それなら納得である。それにしても…ルフィ達が帰ってきてからのこの安心感よ。突然の夜が来て怯えてた私達も、多少怖さが半減したというか…
「ン待てェ!!!!お前らァ!!!!」
凄く重々しい音を立ててメリー号に着地した猿人さんが吠えた。海から出てくる勢いすごかったけど、どうやって出てきたん?というかメリー号壊れるから優しく扱ってほしい。
「…おめェらこのマシラ様のナワバリで…財宝盗んで逃げ切れると思うなよォオオオオオ!!!」
「財宝!!?財宝があったの!?」
「ああ!!いっぱいあった。」
ナミが当然のごとくそれに反応した。あったとしても、それってコケやカビだらけじゃないの?キレイに出来たら売れるのかな…
「マズイ、あいつに船の上で暴れられたら………!!!」
ゾロが刀を構えて警戒し始めたとき、猿人さんの船員さん達が怯えた声で猿人さんを呼んだ。
「ボ!!…ボ…園長(ボス)!!!あ…あ、危なーーい!!!」
一人残らずガタガタと震えている。泣いている人もちらほら見える。いい大人が何泣いてるんだろう…なんて思ったが、指指してる方を見て後悔した。そこには、大きな…カメなんてアリに見えるくらいのとてつもなく大きな人間がいた。全身が黒くて、羽があって、大きな武器も持っている。巨人族よりも大きいそれは、私達を震わせる迫力で。一瞬だけど、目の前が真っ暗になった。現実逃避を無意識に図ろうとしてたのだろうか…意識が戻った代わりに私はガタガタと体を丸めて縮みこまった。
「「怪物だああああ!!!!!」」
ルフィと猿人さんの声と同時に船が動き出した。みんなが逃げようと必死に働いてくれているのだ。私はとてもじゃないけど立てなくて、必死に泣かないように堪えてることしかできなかった。それほどに、恐ろしかった。