第32章 空への地図
「いいだろう、何でも聞いてみろ。」
「これから船をサルベージなさるんですか?」
「なサル!?」
少し日本語がおかしい気がする…日本語じゃなかった。この猿人さんもそれについて過敏に反応した。見た目によらず気にするタイプなのかな。しかし、その予想はハズレる。
「おい…そんなにおれは“サルあがり”か?」
「サルあがり?」
「“男前”って意味だ!!!そう思うか?」
「ええ。」
「いやまいったなあ♡」
「そんな言葉ねェだろしかし。」
「ウソップ、しっ!!」
確かにサルあがりなんて聞いたことない。仮に男前って意味だとしてもなんかバカにされてるようでいやだ。だけどこの猿人さんは本当に嬉しそうにデレデレと鼻の下を伸ばしている。この人にとってサルはもしかして褒め言葉なのかもしれない。
「で?サルベージすんのか?」
「そりゃおめェするもしねェも、そこに船が沈んでりゃ引き上げる男さおれァ!!浮いてりゃ沈めて引き上げる男さ!!!おれ達に引き上げられねェ船はねェ!!!」
どうやらサルベージは結構頻繁に行ってる、というかそれがもう生きがい、みたいな感じっぽい。ルフィ達が下にいる以上移動はできない。それならば、静かにバレないことを祈りながら様子をみるしかない。
「………ナミ、ここは……」
「えぇ、わかってるわ。あの!!じゃあ…見学させてもらっていいですか!?」
「ん?………そうか!サルベージが珍しいかお前ら。よし、いいだろう。見学してくがいい!!」
それをきいた瞬間内心ガッツポーズをしたのは私だけではないだろう。でもこれで安全に様子を見れることができる。
「園長(ボス)!!大変です。」
「何だ。」
「海底へ“ゆりかご”を仕掛けに行った船員(クルー)が…」
「海王類にやられたのか。」
「いえ、それが何者かに殴られた跡が…!!」
何者かに殴られた跡だなんて…そんなの今海底にいるルフィ達しか犯人がいないじゃないか。なんで手を出しちゃうの??上にいる私達にとばっちりがくることを考えてないの??