第5章 旅立ち
エースはそのまま外の木へ縛り付けられた。やることが凄いなダダンは。でもこうでもしないと今のエースは直ぐにおりていきそうだ。天竜人は……この世界の頂点に立つ家系らしい。歯向かえば直ぐに殺される。こんな世界…やだ。サボだってそう思ってまだ自由のある海へ飛び出したんだ。それはアダになってしまったけど。きっと自由の先にある何かを、手にしたかったんだろう。
「サボ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
泣きわめくルフィに未だ暴れるエース。それを何も感情もなしに見つめることしかできない。せめて泣ければ楽だったかもしれない。だけど、不思議と涙は出てこなかったんだ。
翌日の朝、私は海岸へ向かった。夜はあまり眠れなかった。寝れるわけないよね、そんなの。ここの海岸はいつも4人で語ってた場所であり、盃を交した思い出の場所でもある。自然とそこへ向かってしまうのもしょうがない。この大きな海に、10歳そこらで旅に出ようとしたサボに私は尊敬している。
「……サボ、もし生きてたらきっと大物になったんだろうなぁ…」
しばらくして泣き腫らしたルフィが来て、私の足元近くにドサッ、と倒れ込んだ。何を言うことでもなく、何も言うこともなかった。
「ウッ!!」
エースが来て、倒れてたルフィの頭を思いっきり殴った。エースはきっと、誰もいないところで泣いたんだろう。少しだけ、目が腫れていた。でも、その目にはもう迷いがなかった。
「いつまでそうやってるつもりだよ。“中間の森”に隠してた財宝は全部失くなってた。結局サボは使わなかったんだ……だから、おれももう…別にいい。守れもしねぇ財宝集めても仕方ねぇ…」
「…………エース、おれは……もっと!!!強くなりたい!!!…………もっと!!もっと!!もっともっともっともっともっと!!!もっともっともっともっと!!!もっともっと!!もっと強くなって!!!……そしたら…何でも守れる。誰もいなくならなくて済む……!!!お願いだからよ……エースは死なねぇでくれよ……!!!」
ルフィの言葉に私は胸が張り裂けそうになった。堪えていた何かが弾けそうになった。でも、私はそれの押さえ方をしっていたので飲み込むことができた。
「バカ言ってんじゃねぇよ!!おれの前にてめぇの心配しやがれ!!おれより遥かに弱ぇくせによ!!いいか覚えとけルフィ!!!おれは死なねぇ!!!」
「…うん…!!」