第32章 空への地図
簡単に乗船を許していいのだろうか。ビビの場合はよかったけど、この人はめちゃくちゃ強いんだぞ。寝込みや不意を付かれたらやられちゃうんじゃ…
「心配すんなって!!こいつは悪い奴じゃねェから!!!」
ルフィのこういう理屈じゃ理解できない勘はよく当たる。私にとってはあんまりいい印象がないんだけど…何かこの人とあったみたいだし、もしかしたら私達よりもこの人のことを知ってるのかもしれない。まぁルフィが大丈夫というのなら、とみんなも渋々だけど乗船を許した。
彼女の名はニコ・ロビンと言った。ウソップによって事情聴取が始まり、私は助手として隣にいる。
「8歳で『考古学者』、そして“賞金首”に。」
「考古学者…凄い、カッコイイ。」
「フフ、ありがと。」
考古学者だなんて、こっちの世界にはいないのかと思った。だけどよく考えたら遺跡や歴史を求める人がいることは当たり前だな、と思った。どこの島も歴史はあるし、もしかしたら大きな洞窟などがある島はざらにありそうだし。
「おい、考古学者って……何だ?」
「あぁ…えっとね、人類の文化や進化を専門的に研究したりとか探したりとかする人のことだよ。」
「へぇ〜…」
「そういう家系なの。その後20年、ずっと政府から姿を隠して生きてきた。」
20年…そんなに政府から隠れてきたなんて。私達よりは大分大人なんだろうけど、そこまで歳もいってないだろう。子供のときからずっと一人で生きてきたんだろうか。寂しかったんだろうな、なんて…想像できなくて他人事の感想になってしまう。
「子供が一人で海に出て生きていけるわけもなく…色んな“悪党”に付き従うことで身を守ったわ。お陰で裏で動くのは得意よ?お役に立てるはず。」
「ほほう、自信満々だな…何が得意だ?」
「暗殺♡」
「ルフィ!!!取り調べの結果危険すぎる女だと判明!!!」
ウソップが泣きながらルフィに訴えた。ロビンはそんなオーバーなウソップの様子を見て面白そうに笑っていた。……冗談だったんだろうか。何となくだけど、悪い人ではない気はしてきた。
「聞いてんのかおめぇら!!!」
ルフィとチョッパーはロビンのハナハナの能力で楽しそうに遊んでいた。いいな、その能力…