第31章 またね
ボンちゃんの犠牲は忘れない。でもやっぱり陣営にから出てきた海軍の船は停泊しているメリーにまで攻撃を仕掛けてきた。近づいてくる船を乗り込んでくる海軍をみんなで相手をする。
みんなで打ち勝ち、やっとのことで約束の東の港へ着く。あとは時間までビビを待つだけだ。辺りはしん、としており誰か来る気配はしない。来てくれることを信じて待つ。
しばらくしてから、町から流れてくるスピーカーから放送が流れてきた。
『少しだけ、冒険をしました。』
全土放送なんだろうか。この声は知ってる、昨日までずっと聞いていた声だから。きっと、アルバーナから流してるのだろうか。みんなが耳を澄まして聞いていた。
『それは暗い海を渡る“絶望”を探す旅でした…国を離れて見る海はとても大きく…そこにあるのは信じ難く力強い島々。見た事もない生物…夢とたがわぬ風景。波の奏でる音楽は、時に静かに小さな悩みを包み込む様に優しく流れ、時に激しく弱い気持ちを引き裂く様に笑います。……暗い暗い嵐の中で一隻の小さな船に会いました。…船は私の背中を押してこう言います。「お前にはあの光が見えないのか?」。闇にあって決して進路を見失わないその不思議な船は、踊るように大きな波を越えて行きます。海に逆らわずしかしまっすぐに…たとえ逆風だろうとも。そして指を差します。『みろ、光があった。』。…………歴史はやがてこれを幻と呼ぶけれど、私にはそれだけが真実。そして……』
ビビの話は少し難しくて、あまりよく分からなかった。でも、暗い海から光を探す旅に変わったのはとても良いことだし、それを変えられたのは他でもない私達なんだって思ったら少し誇らしく思えた。ビビの声は凛としてて、心地よくて、聞き惚れていたのに…どうしたんだろう、何故か話さなくなってしまった。
「聞こえただろ今のスピーチ。間違いなくビビの声だ。」
「アルバーナの式典の放送だぞ。もう来ねェと決めたのさ…!!」
「ビビの声に似てただけだ…!!」
「行こう。12時を回った…」
もうそんな時間なのか。アルバーナの式典…じゃあやっぱり来ないのかな。最後に顔だけでも見て、お別れをしたかったのに…
「来てねぇわけねぇだろ!!!下りて探そう!!いるから!!!」
「おいまずい!!海軍がまた追って来た!!」
「一体何隻いるんだよ。船出すぞ!!!面舵!!!」
「ルフィ……」