第31章 またね
「………迷ってるんでしょ………」
「え?」
浴槽気持ちいい。このお風呂場に何人の人が入るんだろうか、さすが宮殿のお風呂。こんなお風呂に毎日入れたら気持ちいいだろうなぁ…なんて少し現実逃避をしてきた頃、ナミがおもむろに話しだした。
「私達ね…今夜にでもここ出ようかと思うの。」
「え!?ほんと!!?」
「え……聞いてない。」
「みんなにも言ってないわよ。だってもう居る理由がないじゃない。船長も目をさましたし、副船長は生きて帰ってきたし。港には多分海軍もかまえてる。船もそろそろ危ないわ。」
そっか……メリー号のことを考えてなかった。サンドラ河に置いてきたんだもんね。このアラバスタにスモーカー大佐がいたんだもんなぁ、船が包囲されててもおかしくない。私は宮殿1日もいなかったけど、今そんなこと言ってる場合じゃないだろう。
ゆっくりお風呂に浸かり、服に着替えさっきの部屋まで戻ると男たちはみんなもう各々寛いでいた。みんなを集め、さっそくナミは本題に入った。
「今夜ここを出ようと思うの。」
「……え!?今夜!?」
みんな驚いていたが、そのなかにも納得している者もいた。まだここにいたい気持ちもいるが、現実はそんな甘くない。
「ま、おれも妥当だと思うぜ。もう長居する理由はねぇからな。」
「…そうだな、海軍の動きも気になる。」
「ルフィ!お前が決めろよ。」
「よし!も一回アラバスタ料理を食べたら行こう。」
「すぐ行くんだよバカ野郎!!」
コンコン…
ルフィに決定を促したのが間違いだったね。ルフィもさっき目覚めたばっかで、まだアラバスタを満喫してない。かく言う私もまだここにいたいけどね。なんて話がまとまった時、ドアをノックする音が聞こえた。
「?は〜い。」
「みなさんに電話がきております。」
「電伝虫?誰からですか?」
「『ボンちゃん』という…方です。」
「………ボンちゃん…………?」
「友達だといいはっており……」
「……え、どうしたらいいかな?」
とりあえず電伝虫を受け取ってみんなに決定を促す。ボンちゃん、なんか聞いたことある名前なんだけど…