第31章 またね
「私に………アラバスタ王国を、救わせてください。」
たんっ、と軽く私の体を蹴った。え、と思ったときにはもうペルさんは随分高く上ってて。上で爆発した時に、私への被害が最小限になるように配慮してくれたんだな…なんて安堵してる自分がいた。最低だ。でも、彼は笑っていた。最期に、アラバスタ王国の守護神として守ることができるということを誇らしく思ってるような顔だ。水が出せるような体制ではなく、このまま落ちていくだけなんだけど…ペルさんが上っていった空から目を離すことはできなかった。そして少しの沈黙。瞬間的に起こったのは感じたこともない爆発だった。
ドォン…!!
爆風を直に受けて私は飛ばされた。肌がビリビリとして、体の肉が剥ぎ飛ばされるんじゃないか、なんてグロいことを考える。風に身を任せてしばらくの間ふっ飛ばされた。その間に私は今度こそ意識を手放したのだ。
「ゲホッ……………うぇぇ……………何?」
苦味で目が覚めた。1番最悪だと言えるだろう、何故か口の中がザリザリしてるのだ。吐き出すとそれは砂で…よく見ると周りも砂だった。ただのサラサラした砂だったらよかったんだけど、この砂はまるで水をひっくり返された後のように固まっていた。………雨が降ったんだろうか。
ここの場所にいるのはきっと、あの爆発でアルバーナから結構飛ばされたんだろう。夕日で少し明るいおかげか、遠くにアルバーナがあるのが見える。アラバスタはどうなったのだろうか、みんなは無事か、ルフィはクロコダイルに勝ったのか。不思議と軽い体を持ち上げてアルバーナへ向かって歩く。きっとこのペンダントのおかげだろうな。今は光こそないが、体力がすぐに回復するほど化物じゃないし……体が軽くなる感覚は前にも経験してる。
アルバーナへ着いた。周りは人で賑わっており、武器を持ってる人なんていない。みんなに笑顔が戻ってて、町の人達は逞しく爆発で飛んだであろう建物を補強していた。もちろん目指す場所は宮殿だ。きっと、みんなもそこにいるだろう。
宮殿からは海軍がたくさん集まってた。すれ違いざまに聞いた話だと、宮殿に海賊がいて匿ってる、だそうだ。チャカさんが海賊などいないと追い払ってた。絶対いるんだろうな、みんな。