第31章 またね
「なまえ?」
上から私の顔をのぞき込んだナミと目が合う。ナミは不安そうな顔をしてた。ナミだけじゃない、ここにいるみんな汗を流して自分は何ができるか考えてる。焦りと恐怖、だけどその中でビビのために、という想いが伝わってくる。
「……………はぁ〜………よし。」
若干震えてた体を叱咤するために勢いよく立ち上がる。私だって、やるときはやるんだ。
「みんな…私、爆弾を処理してくる。」
「「「「「はぁ!!?」」」」」
覚悟は決めた。もちろん国を救う覚悟と、責任をもつ覚悟と………死ぬ覚悟だ。
「説明してる時間はない。みんなはなるべく頭を低くしてて。………後は任せた!!」
「ちょっ………なまえ!!!?」
ヒーローになりたいだなんて思ってない。目立ちたいだなんて思ってない。だけど、みんなが戦ってるのに、仲間なのに、一人だけ傍観者なんていやなんだ。出力100%で足に全神経を集中させる。勢いよく水が飛び出し、私は凄い勢いで上空へと飛び上がった。正直勢いが凄すぎて気絶しそうだし、貧弱な私の体はそれだけで悲鳴を上げてる。みるみるうちに時計台の中へ辿り着いた。
「ビビ。」
「なまえさん!?どうやってここに……」
「………ビビ、戦いを……止めてね。」
「え…………なまえさん!!!」
爆弾には取っ手があった。私は力がないから、それを引っ張りだすのは難しいので水の出力で引っ張り出した。ぐん、と重力で下に落ちそうになったけど、体制を立て直して直立になれば後は水の力だけで上に上がることができる。時計台はみるみるうちに小さくなっていき、人が点に見える。手はガクガク震えてて、今にも爆弾を離してしまいそうだった。爆弾のタイムリミットはどのくらいなんだろうか。もうちょっと上に上がったほうがいいだろうか。あぁ、取り出すときに時間を見とけばよかった、なんてどうでもいいことを考える。
「…………ありがとう、後は私に。」
「え…………ペル、さん……!!?」
私の手から爆弾が離れた。しまった、落としたかと思ったんだけど…取ったのはペルさんで。