第4章 山火事
「エース……!!」
「…!大丈夫だ!」
エースは立ち上がって、ブルージャムから隠すように私をかばってくれた。
「なんでここに来たんだ!」
「…だ、だってゴミ山が燃えてて…心配で!」
「………しょうがねぇ奴だな。」
エースはそう言って少し嬉しそうに笑った。
「てめぇ、コルボ山のボス猿だな…」
「山賊ダダンだ!!何の因果かこのガキ共の仮親登録されててね。………さぁて、逃げるぞ!!」
「ハイお頭!!!」
さっきまで普通にかっこよかったのに、一目散と逃げ始めるダダン達。しかし、エースは動かなかった。
「エース?に、逃げようよ!!私達じゃコイツに勝てないよ…!」
「おれは、逃げない!!!」
「………え。」
「お前は逃げろ!!ダダン達と一緒に」
トン、と押されて逃げるのを促したエース。一人じゃ絶対勝てっこない。無理だ、エースが死んじゃう。
「何言ってんだエースおミー!!そいつはヤミとけ!!ブルージャムのヤバさはハッタリじゃニーぞ!!子供が粋がっていいレベルじゃニーんだよ!!」
「お前らルフィとなまえ連れて先に行ってな!!」
「お頭!?」
「エースはあたしが……!!責任持って連れて帰る!!行け!!!」
そうダダンが言った瞬間、私の体が浮き上がった。マグラが抱えて走ってくれていた。マグラの肩からエースとダダンの勇姿が見える。私は信じるよ、二人を。だから…
「必ず帰ってきてね!!!!帰ってこなかったらエースのこと嫌いになっちゃうからね!!!」
エースがそっ、とこっちを振り返って、いつもの悪人頭で笑いながらこう言ってのけた。
「………そりゃ困るな…」
森を抜けコルボ山の安全なところに逃げた私達は、ずっと燃え盛る“不確かな物の終着駅(グレイターミナル)”を見ていた。
火が収まった頃になっても、エースとダダンは帰っては来なかった。