第4章 山火事
今の私の速度じゃ銃の方向を変えるなんて無理だ。精一杯腕を伸ばしているが、子供の腕の長さなんて知れている。せめてルフィみたいに腕が伸びれば……そう思ったとき。エースを狙っていた銃が勢い良く弾けた。
パァン!!!
「……あ!?なんだ……水?」
……水?どこから…そう思ったが、伸ばしていた手が濡れていることに気づいた。…なんで濡れて…水なんて持ってなかったはず。……もし、もしかしたら私が手から水を噴射させた、とか。シャンクスの言葉を思い出す。異世界人は悪魔の実を食べたように、またはそれ以上に強力な能力が身についている。服の中に隠してある無色透明の石を見てみる。……青く、光っていた。ベックマンさんが言っていた。覚醒したとき、無色透明のこの石が色を帯びる、と。
私は覚醒したのか?
「お前誰だ……!?」
ハッ、として視線を石からブルージャムの方へ向ける。ブルージャムはこっちを見ていた。どうやら水の発射源が私だと気づいたようだ。どんどんこっちへ向かってくる。…よかったことは、最初の目的だったエースから銃口が外れたことだ。しかし、今はそれが私に向いている。
「……あ。」
「……なまえ!!なんで……!?」
エースが驚いたように私を見てる。そりゃそうだろ、いるはずもない私がここにいるのだから。
「今、何をしやがった……!?」
今ならまだ逃げられる。が、驚いたことに恐怖で足が動かない。その時、凄い速さで横を通り抜ける影が見えた。
「やめねぇか海坊主〜〜!!!」
「……!!?ダダン………!!」
持っていた大きな釜でブルージャムに重い一撃を食らわせていた。
「なんでお前らここに!!」
「なまえの追ってきたのさ…まさかとは思っていたが、ここにいたなんてな。なまえに感謝しな。」
後を追っていてくれていたのか!全然分かんなかった。子供の上に足が遅い私の後を追えるのは、そう難しくはなかったかな…
「オイ!!ひディー傷だなルフィ!!」
「ドグラ…」
「サボの奴がいニーが!?」
「サボは無事だ。ここにはいねぇ。」
ドグラの声で我に返る。ルフィ、ひどい傷!!どうしよう、剣でザックリと切られたみたい。エースは……大丈夫そうだ。ルフィより傷がない。