第30章 タイムリミット
「ヴォ。」
「………あ、マツゲ!!」
いいところにマツゲが来てくれた。私達と別れたあと、ずっとここの岩陰に隠れてたのだろうか。マツゲの背中にウソップを乗せてくれればあるいは…
「ねぇ、マツゲ。ウソップを背中に乗せてもらえることってできる?」
「…………ヴォ。」
「おい、嫌そうな顔すんなてめぇラグダの癖に!!!」
「嫌だって。」
うーん、困った。女性しか乗せないっていうマツゲの意志は結構堅い。それならば、いつも近くで見てるナミの真似をさせてもらおう。緊急事態なんだ。
「…………マツゲ、……お願い。」
「ヴォ♡」
「なまえちゃん!!おれにもやってくれ!!!」
「いいって。」
「意志弱ェなこのエロラクダ!!!」
体をマツゲの体に密着させて上目遣いでお願いする。これでマツゲが嫌だ、の一点張りだったら私めっちゃ恥ずかしいやつだった。よかった、色気作戦が効いて。サンジにも効いてるのがウケるけど。
「よし、これで宮殿へ行けるな。急ごう!!」
「「「おう/うん!!!」」」
国王軍と反乱軍の戦場を駆け抜ける。それだけでも勇気がいるのに、それを見てるビビはどのくらい辛いのだろうか。今ここで一人一人を止めて説明をしたいところだけど…それじゃキリがないことは分かってる。せめて、あまり目を合わさないようにしながら突っ切るしかない。しばらく走って、砂埃から脱出できたと思ったら…赤色のベストが目に入った。
「…………ルフィ?」
「何ィイ!!!?ルフィ〜!!!?」
「あああああああ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!ルフィが生きてるぞ〜〜〜!!!」
「な!!!な!!!だから言っただろっ!!!おれにはわがっでだ!!!」
「分かってたって奴の顔(ツラ)かよ。」
私の一言でウソップとチョッパーが騒ぎ出した。私がルフィについて話してた時、ウソップは大分落ち着いてたように見えてたんだけど錯覚だったかな…もうチョッパー通り越してギャン泣き。いや、信じてたんじゃないの!?