第30章 タイムリミット
「コブラ王…………王宮…………」
そっ、と息を潜めて近くに寄る。会話は断片的にしか聞こえないが、王宮と聞こえたので多分王宮にコブラさんを連れて行くんだろう。そしたら多分ビビにも会えるから、報告しなくていいかな。というか、本当は助けてあげたいんだけど…さすがにクロコダイルに喧嘩は売れない。怖すぎる。
しばらくして気配が消えたので、覗いてみると…クロコダイルはいなくなっていた。コブラさんを連れて王宮へ行ったのだろう。さて、と振り返ると砂漠の真ん中で砂埃が激しく舞ってるのが見えた。遺跡が見えたけど、すぐに崩壊したからだろうか。南門近くだから、きっとそこでチョッパー達がMr.4達と戦ってるのか…私も加勢に行こう。
「ウソップー、ウソップ!!しっかりしろ、死ぬなよ!!い……!!医者ぁーー!!」
「おめェだろ!!」
壊れた遺跡付近に近づいたら、血だらけで倒れてるウソップとウソップの周りであわててるチョッパーがいた。
「おーーい、ウソップ!!チョッパーー!!」
「おお!!なまえ、無事だったか!!」
「なまえーー!!」
ひしぃ、と到着と同時に抱きついてくるチョッパーに抱きしめ返す。よく見るとチョッパーにもところどころ怪我があった。まぁそれはお互い様か。それより…
「………いや、え?ウソップ死ぬの?血、出すぎじゃない?」
「そうだ、ウソップが大変なんだよーー!!」
事情は聞いた。なるほど、ウソップは最初は死の恐怖に負けて逃げようとしてたんだね。だけど、ルフィが海賊王になるってことを話したときに、笑われたから…私、ウソップのそういうところめっちゃ好き。普通死ぬようなことがあっても、負けちゃいけないと思ったんだ。大事な仲間の夢を笑ったから。本気で叶えようとしてるルフィの夢をコケにしたから。チョッパーに包帯でグルグル巻にされてるウソップを見てしみじみと思う。
「………ウソップ〜…」
「ん?なんだ?」
「…………私、ウソップのこと………いや、なんでもないや。」
「なんだよ!!!」
いや〜、普通にカッコイイと思っちゃったからさ。好きだ、って言いたかったんだけど…普通に恥ずかしかったからやめた。…それにしても、チョッパーも厳重だな。体の端から端まで包帯で巻かなくても…これじゃこれから存分に動けないじゃん。いや、動けないようにしてるのか。