第29章 アルバーナへ
「これでいいの?」
「って、ええ!!?」
何故私の上着を脱がせた!!可愛い踊り娘が好きだって言ってたじゃん!!ナミが脱げばいいのに何で私が…と抗議しようと思ったが、外側を向いてたハサミの目がギョロっ、とこっちを向いて驚き固まった。いやらしいその目がハートマークになるのはそう遅くなく、ハートマークになった瞬間ハサミの走るスピードが格段と上がった。
「加速したぁ!!!」
「……な、なんだったんだ…」
「なまえちゅあ〜〜〜ん♡」
「ヴ…ヴォ〜〜〜〜ン♡」
「余計なのも2匹壊れてんぞ。」
「エロパワーだァ〜っ!!!」
男共に見つめられて、恥ずかしかったのだが…私は役に立ったみたいだ。可愛い踊り娘じゃなくても効果はあったのか。本当に踊り娘が好きだっただけなんだね。それにしても3倍くらいのスピードが出たぞハサミ。最初からそのくらい出してくれればよかったのに。ていうか、
「これがなんの解決になったの、チョッパー?」
「確かに!!!」
「え…………!!おいおいちょっと待てよ、このカニすげぇぞ!!!」
「奇跡だっ!!!水上を走ってる!!!!」
多分スピードの勢いなんだろう。それにしても、水面を走れるなんて忍者しか聞いたことないぞ。感動で体の力が抜けてるのか、視界が下になって行き……って
「いや沈んでるよこれ!!!」
「気のせいかァ!!!」
やっぱり駄目だったみたい。エロパワーでもさすがに苦手なものは克服できないらしく。結局私達はびしょ濡れになってしまった。
「文句言ってるヒマはねぇ、進むんだ!!!」
「ちょっと待てって!!船はねぇのか、向こう岸まで何キロあんだよ。」
「50kmくらい。」
「泳げるかァ!!!」
いやつんだ。50kmだなんて気の遠くなるような距離を泳げるわけない。50mなら泳げるよ?でもそれの100倍だなんて。