第28章 クロコダイル
「ちょうど頃合い………パーティーの始まる時間だ。違うか?ミス・オールサンデー…」
「ええ………7時を回ったわ。」
何か地鳴りがしてるように思える。いや、多分本当に地鳴りが起きてる。クロコダイルが話したそのパーティーというものは、ユートピア作戦というもので。もう始まったから止めることはできないとでも思ってるのか、私達にその作戦を聞かせた。それはとても計画的で、残酷で、クロコダイル風に言うと勝手に殺し合ってくれるように仕組まれた作戦であった。唖然として聞く私達をクロコダイルは大声で笑い飛ばす。
「クハハハハハハハ…ハッハッハッハッハッハ!!!どうだ、気に入ったかねミス・ウェンズデー。君も中程に参加していた作戦が今花開いた…耳を澄ませばアラバスタの唸り声が聞こえてきそうだ!!!…そして心にみんなこう思っているのさ。おれ達がアラバスタを守るんだ…!!!アラバスタを守るんだ!!!アラバスタを守るんだ!!!」
「やめて!!!なんて非道いことを…!!!」
「泣かせるじゃねぇか…!!国を想う気持ちが国を滅ぼすんだ…!!!」
「…外道って言葉はコイツにピッタリだな。」
「…あの野郎ォ〜〜っ!!この檻さえなきりゃ……!」
そう、目の前に倒すべき敵がいるっていうのに檻のせいでぶっ飛ばせないでいる。そもそもなんでみんな檻に入ってるの?ナミやゾロやウソップが一緒にいるのに…やられたってわけでもないし、大方何か罠にかかったのだろう。
「…フフ…思えばここへ漕ぎ着けるまでに数々の苦労をした…!!社員集めに始まり、“ダンスパウダー”製造に必要な“銀”を買うための資金集め。滅びかけた町を煽る破壊工作、社員を使った国王軍欄行の演技指導、じわじわと溜まりゆく国のフラストレーション、崩れゆく王への信頼…!!!なぜおれがここまでしてこの国を手に入れたいかわかるか、ミス・ウェンズデー。」
「あんたの腐った頭の中なんてわかるもんか!!!」
「…ハッ…口の悪ィ王女だな。」
ビビはクロコダイルの言葉を無視して体を左右に揺らし、イスを倒した。そのままズルズルと床をはう。王女様なのに…でも、そこまでしないと何も進まないってことは私にも分かる。