第28章 クロコダイル
「何をそんなにムキになるの?あなた達がうちの社員達にしたこととどう違うのかしら。おかしな話…!」
ドスッ!!!
「えっ………」
「ビビ様!!!」
ミス・オールサンデーはビビを片手で持ち上げると、そのお腹に手を貫通させた…という表現が一番正しいのだろうか。人の手って人体を貫通させるほどの凶器になるっけ?
「貴様ァアアア!!!!アラバスタの砂になれ!!!」
「“三輪咲き(トレスフルール)”」
こちら側へ飛んできたペルさんの体から肘から下の長さくらいの手が3本生えた。2本は羽を抑えて飛べないようにし、もう1本は刀を押さえつけて抜けないようにしていた。
「ペル!!ケホ!!」
「……ビビ!?」
「……!!?ビビ様!!ご無事で……!!?」
「フフフッ…私がこの娘を殺したように見えた?…………アハハハ…」
見えた?…さっきの技を見る限り、腕をはやせる能力だろうか。もし生やす場所に限りがないのなら…
「貴様一体何をした!!!」
「………そんなに怒らないでよ。少しからかっただけじゃない。」
「………ビビの…背中に手を生やして…貫通させたように見せた……?」
「えぇ、ご名答。」
「…………能力者か!!」
私の推測はあってたらしい。じゃあ貫いてなかった手はビビの腹部に単に強い衝撃を加えただけ。…まぁそれでも結構痛いだろうけど。
「そう…私が口にしたのは“ハナハナの実”。体の各部を花の様に咲かす力。これが私の能力よ。咲く場所を厭わない私の体は…あなたを決して逃さない。」
すごい…相手の体だけじゃなくて、自分の体にも生やすことができるんだ。この人が凄く大人っぽく見えるせいかなんか少しだけ生えているのが手でも美しい気がするのは気のせいだろうか…いや、この人は敵だ!!見惚れちゃダメだ
「…逃げるだと…!?バカを言え!!!今こそここでイガラムさんの敵を討たせてもらう!!!」
「そう…でもごめんなさい。もう少し遊んであげたいけど…私にはその時間がないの。」
「安心しろ、時間など要らん!!!」
ペルさんがミス・オールサンデーに向かって走り出した。なんとなくこの人にスピード攻撃は聞かない気がする。だって、どこでも手を生やすことができるんだったらやられる前に手を生やして阻止することができるんだから。