第27章 かけるモノ
「大変だーーーっ!!」
「なんだ!?あいつ戻ってきたぞ…」
「大ケガして死にそうな鳥がいっぱいいるんだ!!チョッパー、来て治してやれよ!!」
「う…うん、わかった!!」
「鳥!!?ちょっと待ってルフィさん、その鳥って…まさか…!!!」
ビビが声を荒げた。説明は後、早く荷物の確認を!!と言われて私達は小走りでルフィが荷物を置いた岩場に向かった。…しかし
「荷物が全部消えてるぞーーーっ!!!?」
「さっきここに本当に死にそうな鳥が!!!」
「やられた…“ワルサギ”は旅人をダマして荷物を盗む“砂漠の盗賊”よ。ごめんなさい、話しておくべきだった…」
「鳥がケガしたフリを!!?…そりゃサギじゃねぇか!!」
「そう、サギなの。」
これは詐欺とサギをかけてるのか。ビビの言葉でなんとなく分かった。詐欺を得意とするサギなのね。
「あれは3日分の旅荷なんだぞルフィ!!鳥なんかに盗まれやがって!!この砂漠のド真ん中でよりによって全員の荷物を全てだと!!?水も食糧もなくてどうこの砂漠を…」
「だってダマされたんだから仕方ねェだろうが!!」
「てめぇの脳みそは鳥以下か!!」
「何をーーーーっ!!!」
ケンカが始まってしまった。この砂漠に来てから何回ケンカが起きたのか。みんな暑さにやられてるんだな。しかも荷物を奪われたという絶望的な状況下で。
「やめろお前ら!!!…ちょっと休もう…カッカすんのは全部暑さのせいだ、頭冷やせ。夜中には“ユバ”に着くんだろ?」
「ええ…………」
「その町がオアシスなら、それまでの辛抱だ。死ぬほどのこっちゃねぇ!!このことは忘れよう。考えると余計ノドが乾く。10分休んだら出発だ。」
こういうとき、ゾロのこの指示はありがたい。ルフィじゃこういう役目はできないだろうからね。…本来私がやるべきことなのかもしれないけど。とりあえず、ラッキーと考えるべきことはある。
「…サンジ、私のバックは無事。全員じゃないよ。」
ピタッ
さっきまでケンカしてた2人が同時に動きを止めた。そっか、気づいてなかったんだ。私、みんなとちょっと離れて歩いてたし、一言も声を発しなかったから。