第26章 兄弟
2年前…ある運び屋が王宮へと運ぶ荷物を転落させた。袋から出てきたのは緑色の粉…ダンスパウダーだった。
「“ダンスパウダー”が…!?」
「ええ」
「なんだ、知ってんのか?」
「…別名は“雨を呼ぶ粉”」
「雨を呼ぶ粉!?」
「昔どこかの雨の降らない国の研究者が作り出した代物でね、この粉から霧状の煙を発生させて空に立ち上がらせることで、空にある氷点下の雲の氷粒の成長をうながして降水させるの。つまり、人工的に雨を降らすことができる粉。それが“ダンスパウダー”よ。」
「ははーん、“不思議粉”か。」
「雨を降らすんだろ、要は。」
二人共ナミの説明なんか理解できなかったんだろ。まぁでもそこを理解してくれるんならいいか。
「ん?だったらこの国にはうってつけの粉じゃねぇか。」
「最初はね。“ダンスパウダー”を開発した国もその名の通り踊るように喜んだと云うわ……だけど、それには大きな落とし穴があったの。風下にある隣国の“干ばつ”!!!………わかる?“人工降雨は”、つまりまだ雨を降らすまでに至らない雲を成長させ雨を落とすというものだから…」
「そうか…!!放っときゃ隣国に自然に降るハズだった雨さえも奪っちまうというわけかっ!」
「そう…それに気づいたその国はついに戦争を始め、たくさんの命を奪う結果になった…以来世界政府では“ダンスパウダー”の製造・所持を世界的に禁止してるの。」
「………使い方1つで幸せも悪魔も呼んじまう粉か…」
「その“ダンスパウダー”が大量に港町に運び込まれた時、国では王の住む町以外は全く雨が降らないという異常気候………!!」
「王を疑うのが普通だよな。この粉で国中の雨を奪ってやがるんだと…」
「何だビビ、そりゃお前の父ちゃんが悪ィぞ!!」
「バカ!!ハメられたんだよ!!!ビビちゃんのお父様がそんなことナサルか!!!」
なるほど。その運び屋っていうのはもしかして…クロコダイルが仕組んだB・Wの社員の人達。国民に国王の疑いがかかるようにわざとダンスパウダーを見せ、慌てるような演技をさせたってわけね。