第26章 兄弟
「あっちで勝ってるヤツいるけど。」
「勝ってもダメっ!!勝負に負けたら弟子入りするのがクンフージュゴンの掟なの!!」
「武闘派だな。」
確かに、ルフィに負けたクンフージュゴンはルフィに頭を下げて弟子入りを申し込んでいた。…あれ、待ってどんどん増えてない?
「「「「「「「クオッ!!」」」」」」」
「違う、構えはこうだ!!」
「弟子増えてるわよ!!?」
「さァ行くか、ユバへ!!」
「お前のせいで随分食料減ったぞ!!」
何とかチョッパーに説得してもらってクンフージュゴンと別れることができた。みんな涙流しながら師匠(ルフィ)に手を振ってる…可愛い。
「『お供するっス』ってずっと言ってた。食糧で手を引いたけど。」
「連れていきゃいいだろ。」
「あんな大所帯じゃどこの町へも入れなくなるじゃない!!バカねっ。」
私も一瞬連れてけばいい戦闘員が増えるかな、とか思ったが…ジュゴン達は果たして砂漠を超えることができるのか。
「しかしこの国のジュゴンは変わってんなぁビビちゃん、河に住んでた。」
「……ううん、海よ。………太古の昔から、この国をずっと潤してきた大いなる河、“サンドラ”も、近年ではかつての勢いを失って下流に海の侵食を受けているの。」
「…じゃあさっきジュゴン達のいた辺りの河の水は…」
「海水よ。飲水にも畑にも使えない水。」
「それで枯れたのか?この町は…」
「…いいえ、まれに降る雨水を確実に貯えることで、町は何とか保っていたわ。つい最近までこの辺りは緑いっぱいの活気ある町だった。だけど…ここ3年、この国のあらゆる土地では一滴の雨さえ降らなくなってしまった。」
「さっきの港町は大丈夫だったのか?」
「『ナノハナ』は隣町の『カトレア』というオアシスから水を供給してるから無事なの。」
でも、いくら砂漠地帯だと言っても…雨がずっと降らないなんて現象がありえるんだろうか。元々降ってないなら分かるけど、いきなりは…
「降雨ゼロなんてアラバスタでも過去数千年あり得なかった大事件…だけど、そんな中1箇所だけいつもより多く雨の降る土地があったの。それが首都『アルバーナ』。王の住む宮殿のある町。人々はそれを“王の奇跡”と呼んだ。あの日、事件が起きるまではね…」