第26章 兄弟
「えっ!!もう行っちゃうの!?」
「あぁ」
「もうちょっとゆっくりしてけばいいじゃねぇか!!久しぶりに会ったんだし。」
「言っただろ。お前らに会いに来たのはコトのついでなんだ。おれは今“重罪人”を追ってる…最近“黒ひげ”と名乗ってるらしいが、もともとは“白ひげ海賊団”の2番隊隊員、おれの部下だ。海賊船で最悪の罪…奴は“仲間殺し”をして船から逃げた。隊長のおれが始末をつけなきゃならねぇってわけだ。そんなことでもねぇ限り、おれはこの海を逆走したりしねぇよ。次に会う時は、海賊の高みだ。」
そっか…エースってば、2番隊を任せられてるなんて。しかも白ひげ海賊団の。凄いな…とても強いんだな。また会えるといいな。…心の中でモヤモヤしたものを取り払うために、私はルフィと共に大きな声でエースを見送る。
「またなーーーーーーっ!!!」
「元気でねーーーーーっ!!!………エース…」
なんだろう。凄く胸が苦しい。…この海でエースにもう一回会うことはできたっけ?あの自由な後ろ姿はもう一回見ることができたっけ?考えれば考えるほど不安になってきて、エースを見送ったことに訳もわからない後悔が押し寄せてくる。思考を停止するために、なるべく明るめにルフィに話しかける。
「ねぇルフィ!ビブルカード、私にもちょうだい!」
「なんで?」
「え?何でって…ルフィだけズルいじゃん、私も…」
「いやだ。これはおれが持つ!!」
「何で!!ルフィ絶対なくすじゃん!!ちょうだい!!」
「おれがエースから貰ったんだ!!」
「ズルいよ!!私も……」
「ずっと一緒にいるんだからいいだろ!!」
「………っ、」
ビックリした。ずっと一緒…私達が離れ離れになることなんてないと、言い切った。私も元の世界に戻るまではここにいようと、ってかここしか居場所ないと思ってるけど…ルフィもそう思っててくれていたなんて。
「…………分かった。ただし!!無くしたら許さないからね!!」
「おう!!ししししし!!」
「お前兄貴から一体何受け取ったんだよ。」
「さー、分かんねぇ紙切れだ。」
いやだからビブルカード。私さっき説明したよねルフィ?あ、してないか。