第26章 兄弟
「エース、何でこの国にいるんだ?」
「ん?何だお前ら、ドラムで伝言聞いたわけじゃねぇのか。」
「ドラムで?」
「聞いてないよ?」
「あー、いいさ別に大した問題じゃねぇから。とにかく、まァ会えてよかった。おれァちょっとヤボ用でこの辺の海まで来てたんでな。お前らに一目会っとこうと思ってよ。」
そっか。よくここで会えたもんだね。運とタイミングがよかったんだろうな。頭を撫でられた……3年前までそんな妹扱いしてなかったのに。…いや、してたか。
「ルフィお前…ウチの“白ひげ海賊団”に来ねぇか?もちろんなまえや仲間も一緒に。」
「いやだ。」
「プハハハハ…あー、だろうな。言ってみただけだ。」
冗談なのか本気なのか。ルフィが万が一、うん、って言ったときは大歓迎だったんだろうな。
「“白ひげ”…“白ひげ”ってやっぱその背中の刺青(マーク)、本物なのか?」
「あぁ、おれの誇りだ…」
白ひげ…こんな序盤辺りから名前が出てくるなんて思わなかった。四皇の一人…シャンクスと同じ位置の人だ。確かにウソップの言うとおり、エースの後ろには白ひげのマークが掘ってある。そっか…エースは今白ひげの傘下なんだね。
「“白ひげ”はおれの知る中で最高の海賊さ。おれはあの男を“海賊王”にならせてやりてぇ…ルフィ、お前じゃなくてな…!!」
「いいさ!だったら戦えばいいんだ!!」
「………そうだよ。エースが助けてくれなくても、私がルフィを海賊王にするんだから!!」
白ひげを尊敬してるエース。別に競争心とか嫉妬とかはないんだけど、なんか意地のような感情が湧き上がってそんなことを口走る。
「…ヘェ。ちゃんと副船長やってんだな。」
「………ふ、副船長っていうのは…肩書きだけだけど…」
最近だしね、みんなに副船長だって知ってもらったのは。情けない、本当に。強くもないくせにね。
「今からでも遅くはねぇぜ?おれと一緒に来るか、なまえ!」
「え………」
「待てよエース!!なまえはもうおれの…」
「はははははは!!冗談だよ。熱くなんな、ルフィ。…どっちにしろ、今は連れてけねェ…」
お、おれの……?え、何言おうとしたんだろうルフィ。みんなの視線が少し気になってきた。…というより、今は、ってどういう意味だろう。